チーム作りに抜かりはない。さすがソフトバンクだ。1軍は昨年、一昨年と連続して日本一に輝いた。ファームも同じように連続してリーグ優勝している。今季も意気込みは十分。鍛錬の場として筑後にナイター設備のついた球場を新設した。サブグラウンドあり。室内練習場あり。ウエートトレーニングルームもあって合宿所も併設。選手を鍛えるのに事欠かない施設を設けた。鬼に金棒。さらなる飛躍が期待されたが、前回(5月20日)鳴尾浜にきた時には、なぜか、施設の効果は見られなかったが、もう完璧だ。一足飛びに1チームだけ突っ走っていた中日に半ゲーム差と迫った。
7月10日の試合で1引き分けを挟んで10連勝。6月にはいってからというもの、23試合を消化して17勝4敗2分けの成績。ものすごい勢いで上昇している。ソフトバンクの強さは、ひのき舞台で活躍している選手を見たらわかる。松田が生え抜き。柳田も生え抜き。その他中村晃、本多、長谷川、今宮。投手では和田(9勝)武田(8勝)千賀(7勝)も生え抜きだ。自前で育てた選手が中心になっているチームは強い。O・Nを中心にしたかつての巨人がそうであったように、現在のソフトバンクの強さはここにある。もちろんトレードやFAなどでの補強も的を射ている。常にクリーンアップに座り、打線の軸として活躍している内川がその最たるものだが、選手育成の秘訣は-。
3軍制を引き実戦(試合)を主にした指導の運営方針も功を奏しているのだろうが水上監督と話をして選手育成の真相が判明した。相乗効果である。「どこのチームも同じだと思いますが、うちなんかも1、2軍の入れ替えは結構あります。その中でファームにおりてきた選手が、もう一度1軍に上がるんだという気持ちで、自分の力が足りなかったところを懸命に修正するといいますから鍛えますので、それを見てファームの選手は『あの人があれだけの練習をするんだから、自分たちはそれ以上の練習をやらないといけない』という気になって野球に取り組みます。そりゃあ、なかには1軍に行ってきただけで満足している選手もいますが、なんとしても1軍に上がるんだと思っている人は、本当によく練習をします。今度ファームに来た福田なんか、一番先にグラウンドに出て、一番最後まで残って練習していますからね」素晴らしいムードの中でチーム作りをしている。
ソフトバンクの強さはここにあると見た。監督名指しの練習ぶりでチームを引っ張る福田は「上(1軍)では、どうしても悪い方にはまってしまうことが多いんです。10打席も15打席も連続してヒットが出なくなったりしてしまう。1軍では、その場で結果を出さないといけませんので余計なことなど考えている余裕はありません。だから、今、ここでバッティングフォームのトップを決めたりカウントによっての狙い球、方向性などをいろいろな場面を考えて打席に立っています。練習はコンスタントに出せる力がないわけですから、やって当然です」。再び1軍を目指す意気込みの現れだ。3連戦の初戦は初打席でいきなりホームランを放った。2戦目は雨天中止になったが、3戦目は左中間への普通ならシングルヒットを好走塁で2塁打にしたベースランニングは光っていた。
鳴尾浜で強いソフトバンクを見せつけられた。逆転で10連勝を決めた試合。1点リードされていた8回だった。一死満塁のチャンスにファーム落ちしていた江川に打順がまわる。流れはいい。見事に左中間へ走者一掃の2塁打を放って期待に応えた。続いて、同じく2軍落ちしてきた高田が右翼線へ2塁打。後続も続いて一挙6点を奪う。再度1軍昇格への結果を出した選手。この光景を目の当たりにして奮起する若手。新たに“相乗効果”が生まれる内容。ソフトバンクから目が離せない。
【本間勝】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「鳴尾浜通信」)



