広島はさすがだ。最下位にあえぎながら本拠地マツダスタジアムに首位巨人を迎えた3連戦で連勝を決めた。広島のオーナーは球界の名物的存在でもある松田元だ。連勝で松田のデスクの上にまたお菓子が増えたかな、と想像する。

「大変なんだぞ。勝てば同じものを買い続ける。負ければ種類を変える。勝ったときのものは残すからドンドン増えていく。それを食べんといかんのだから」

以前にそんな話を聞かせてくれた。何のことか。「験担ぎ」である。勝負の世界に生きる人々にはこれが欠かせない。知将・野村克也は負けた翌日、遠征先で移動バスの道順を変えたというのは有名な話だ。

阪神の指揮官・矢野燿大も験担ぎはしないと言いながら昨年のクライマックス・シリーズで赤いパンツを履いていると明かした。今年は球団が商品にしていたが売れているだろうか。

験担ぎを信じるのなら、阪神は残りのシーズンで藤浪晋太郎を先発させ続けなければならない-。そんなことを思っている。

ヤクルトとの2戦目は楽勝ムードが終盤ヒヤヒヤの展開になった。しかし「きょうは勝つことになってるしな…」と思っていた。熱心な虎党ならお気づきだろう。今季の阪神、藤浪が先発した翌日の試合は負けていない。

少し並べてみたい。いずれも藤浪が先発した翌日の結果だ。

7月24日 対中日 ○

同31日 対DeNA △

8月6日 対巨人 ○

同15日 対広島 ○

同22日 対ヤクルト ○

今季5度先発している藤浪自身は1勝4敗だが、その翌日の阪神は4勝0敗1分け。シーズン勝率が5割を切っているのだから驚異的な数字ではないか。あれだけやられている巨人にも勝っている。

その理由は何か。いや、そんなものは特にないと思う。だからこそ験担ぎと言える。それでも結果がすべての世界なのだから続いている間は信じてみたい。

いや、ひょっとして理由があるとすれば藤浪から出ている“気迫”のようなものか。「勝ちたい、よみがえりたい」という本気さが毎回、投球から伝わってくる。それがチームに好影響をもたらしているとすれば、やはり重要な選手だ。

そして藤浪が勝ち続け、翌日も阪神が勝つならカード勝ち越しが続く。次もそうなればな…。辛勝の後に妄想している。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

ヤクルト対阪神 勝利した阪神矢野監督(左)は西勇輝を迎える(撮影・足立雅史)
ヤクルト対阪神 勝利した阪神矢野監督(左)は西勇輝を迎える(撮影・足立雅史)