阪神先勝のポイントはマルテだと思う。5回1死一、二塁。そこまでDeNA今永昇太にタイミングの合っていなかった糸原健斗に代え、マルテを送った。この場面。糸原に送らせ、当たっている近本光司に託す手もあるかとみたが代打策に出た。二塁走者が青柳晃洋だったことも決断に影響したかもしれない。

そのマルテが“本領発揮”する。助っ人ならではの長打力を誇るマルテだが同時に売りものは選球眼。好調なときこそ打ち急がず、じっくり選ぶ姿勢だ。その真骨頂を発揮した。2球で追い込まれてからストレート、チェンジアップを見極めて歩いた。「もちろん、大事なキーでしょ」。指揮官・矢野燿大も認めた四球で満塁。今永を追い詰め、近本の決勝2点打だ。

もう1つ、中野拓夢の第1打席も隠れたポイントかもしれない。緊張感に満ちた初戦、その最初の打者だ。おなじみの初球打ちで思い切って来るか。そう予想していたら今永が投じた外角真ん中よりのストレートを見逃した。その後もファウルで粘る。結局、遊ゴロに倒れたものの、いきなり9球を投げさせた。

これは大きかったと感じる。本来、1番打者は先発投手に球数はもちろん、多くの球種を投げさせることも仕事の1つ。しかし最近の野球はあまりそうでもないようだし、矢野阪神もそういう感じ。だからこそ中野が体現したじっくり見ていく姿勢は評価できる。

この試合、阪神は全体に落ち着いていた。8回に岩崎優の送球ミスはあったがバックに守備の乱れはなく進んだ。その落ち着きを呼んだのは最初の中野の打席だったり、マルテの選球眼だったりというところかもしれない。スコアラーの情報を基に研究を重ねた結果だろう。そこに勝手に付け加えさせてもらえば「相性の良さ」もあったかもしれない。

今季、DeNAには9勝16敗と負け越した。特に敵地・横浜スタジアムでは2勝11敗とボコボコ。何が相性の良さやねん、と叱られるかもしれない。だが「横浜でのデーゲーム」に限れば3試合で2勝1敗と勝ち越していた。その1敗も9月10日にルーキー森木大智が先発、いわば勝敗を度外視したような1敗だ。

横浜の陽光が合うのかどうか。たまたまだと思うけれど何でも縁起のいいことは前向きに受け入れて、9日の第2戦デーゲームで一気に突破といきたい。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

DeNA対阪神 8回表を終え選手交代を告げる矢野監督(撮影・加藤哉)
DeNA対阪神 8回表を終え選手交代を告げる矢野監督(撮影・加藤哉)
DeNA対阪神 7回表前、応援する阪神ファン(撮影・鈴木みどり)
DeNA対阪神 7回表前、応援する阪神ファン(撮影・鈴木みどり)