7月2日は1年の真ん中、折り返しの日である。そして阪神は1日に今季72試合目、シーズンのちょうど真ん中の試合に勝ち、貯金を「12」に戻した。指揮官・岡田彰布にとって自らが理想とする「投手を中心にした守りの野球」での快勝。それも巨人相手にだから、さぞかしうれしいはず。

巨人対阪神 勝利しタッチを交わす阪神岡田監督(中央)、伊藤将(同左)ら(撮影・足立雅史)
巨人対阪神 勝利しタッチを交わす阪神岡田監督(中央)、伊藤将(同左)ら(撮影・足立雅史)

相性のいいG打線相手に仁王立ちした先発・伊藤将司、さらに10号先制ソロの大山悠輔と殊勲者は多く生まれた。ここで取り上げるは8回、代打に出たミエセスである。選んだ四球が意味を持つと思うからだ。

1点リードの8回1死でベンチは伊藤将に代打ミエセスを送った。伊藤将はこの時点でまだ99球。「打順が回ってこなかったらまだいかせてたけど流れに従おうと」。岡田がそう説明したように、信頼するブルペンに期待したセオリー通りの采配である。

ミエセスはカウント3-1から左腕・大江竜聖の投じた外角スライダーに手を出さずに歩いた。1死二塁で上位打線に回す。2死一塁になってミエセスの代走・植田海がけん制で刺されたが、ここは盗塁を仕掛ける場面。アウトになっても9回、中野拓夢からという状況。実際にそれが9回のダメ押しにつながった。

強調したいのはミエセスの姿勢だ。あの場面、打者は安打を打ちたいもの。特に助っ人なら大きいのを狙いたいはず。というか、それが普通だろう。だがミエセスはしっかり見極めた。

ポーズを決める阪神ミエセス(2023年6月撮影)
ポーズを決める阪神ミエセス(2023年6月撮影)

これが自身今季9個目の四球。全打席数は「80」だから頻度が目立つ。岡田も「あいつは四球を選べるからな」と評価する。キャンプで見た際は「外角の変化球にくるくる回るタイプかな」と予想していた。その印象は完全に覆している。

そこには日本でプロとしての経験を積もうというミエセスの姿勢もあるのだろう。好物はカレーで甲子園での食事はいつも同じだそう。こわいのは新幹線だ。

「飛行機は平気なのに新幹線はこわいそうです。オープン戦で初めて乗るときに『あれは何だ?』と言うので『新幹線。300キロ近くスピードが出るぞ』と言うと『本当なのか? 列車がそんなに速くて大丈夫なのか?』とビクビクしながら座っていました」

球団のスペイン語通訳・橘佳祐はそんな話をしていた。仏頂面のノイジーと合わせ、今季の外国人野手はユニークである。残り半分のシーズンも勝利に貢献してほしい。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)