高校の部は履正社(近畿・大阪)が、早実(東京)を11-6で下し初優勝を飾った。早実・清宮幸太郎内野手(2年)は神宮初となる通算76号ソロを放ったが、40年ぶりの日本一には届かなかった。

 日本一を逃しても、清宮が下を向くことはなかった。神宮8試合目での初アーチも実らず、主将となった現チームの公式戦11試合目で初黒星。「(昨年の甲子園で)夏は4強、今回は決勝。着実にステップアップしている。あとは優勝しかない」。東京大会制覇で出場をほぼ確実としている来春センバツでの雪辱を誓った。

 全国舞台で脅威を与え続けた。初回、2死走者なしから外寄り低めの134キロ直球を右翼席にたたき込んだ。「直球だけを狙っていた。かなり完璧で、打った瞬間に入ったと思いました」と笑顔で振り返った。3回には初球を右前に運ぶ適時打。初戦の静岡戦に続き、左投手を攻略した。今大会3試合14打席で5安打7四死球。出塁率8割5分7厘を残した。対戦した3校のバッテリーは「投げるところがなかった」と口をそろえた。

 敗戦が清宮を進化させる。16年最後の公式戦は、11失点で逆転負け。「チームとして力は出し切れた。上には上がいる。悔しいけど、準優勝は成長できるきっかけになる」と言った。

 今年、印象に残ったのは「負け」の3試合だった。甲子園行きを絶たれた今夏の西東京大会準々決勝・八王子学園八王子戦、5打席連続三振した今秋の東京大会決勝・日大三戦、そして「今日です」。成功ばかりが目立つが、清宮は「八王子戦の負けが、ここにつながった。勝ちより負けから得るものは多い」と言い切る。今大会も「自分は負けたようなもの」と振り返る日大三戦から修正し、36年ぶりの決勝に導いた。和泉実監督(55)も「失敗した時のことほど大事にして、よく練習する」と話した。

 東西の注目スラッガー対決でアーチを競演した履正社・安田とは試合後、笑顔で握手した。「『ナイスバッティング』と言ったら、向こうも『すごいね』と言ってくれた。早実は強くなったと言われるようになる」。借りは、甲子園で返す。【鹿野雄太】