第99回全国高校野球選手権(甲子園)は8月7日に幕を開ける。来月7日には東北のトップを切って岩手、福島大会が開幕。みちのく球児の熱い闘いが、始まりを告げる。みちプラでは、地方大会開幕を前に2週にわたって高校野球を特集します。今週(前編)は東北6県の勢力図を調べ今夏の展望を、来週29日(後編)は各県を代表する注目選手にスポットを当て、分析します。春の東北大会は仙台育英(宮城)の秋春連覇で幕を閉じました。夏の頂点に立つのは、果たしてどの高校になるのか?【取材・構成=高橋洋平】

<青森>

 今春のベスト4を占めた私学4強の中でも、2年連続の夏を狙う八戸学院光星が1歩リード。最速143キロ左腕の向井詩恩(3年)が春の東北大会で腰椎の疲労骨折から復帰。離脱期間を支えた本格派右腕福山優希(2年)との2枚看板で同大会準優勝に導いた。東北NO・1の呼び声高い最速150キロ右腕の古屋敷匠真(3年)擁する八戸工大一が2番手で続く。

 秋春王者の青森山田は三上世視滝(せしる)投手(3年)が腰の故障から1年ぶりに復帰し、継投を確立。弘前学院聖愛は、右下手のエース山口大成(3年)が110キロ台の遅球を駆使し、春の東北大会で盛岡大付を撃破した。私学4強以外では最速143キロ左腕の鳥谷部慎吾(3年)がエースを務める弘前東が有力。“下北魂”で昨夏準優勝の大湊は打力はあるだけに、投手陣が整備されれば面白い。

<岩手>

 県勢初の3季連続甲子園を狙う盛岡大付が頭1つ抜けている。通算50本塁打を超える植田拓外野手(3年)を筆頭に東北最強打線を誇る。唯一の懸念は今春のセンバツで登板した平松竜也(3年)と臼井春貴(3年)の両右腕が春不調。エース左腕三浦瑞樹(3年)の連投は避けたい。

 05年から隔年で出場する花巻東はエース佐藤真生(3年)の力投、2年連続夏準優勝の一関学院は攻守の要小椋元太内野手(3年)の踏ん張りが必要。公立勢では千厩(せんまや)が筆頭だ。「岩手のドクターK」こと千葉英太(3年)は秋春連続で県大会初戦敗退ながらも、最速143キロの直球とスライダーは健在。今春センバツ出場の不来方(こずかた)は地区大会で大黒柱小比類巻圭汰(3年)が登板せず県大会出場を逃した。夏の巻き返しに燃える。春の東北大会に出場の久慈、大船渡東も有力。