新潟大会序盤の注目カード・北越と新潟明訓の昨秋4強対決は、北越が8-1で快勝した。先発の大野絢平投手(2年)が7回を投げ被安打8も1失点の粘りを見せた。攻撃は2点リードの9回。3四球、2暴投、1捕逸と相手ミスに乗じて大量5得点。強豪対決は思わぬ大差で決着がついた。

 緊張を強いられる大一番、初戦1回戦の新潟明訓戦。ところが北越の2年生投手・大野は重圧とは無縁に余分な力が抜けていた。7回を8安打されながら、1失点で切り抜けた。「プレッシャー、緊張は全くなかった。注目カードを楽しむことしか頭になかった」と笑った。昨秋の準決勝・日本文理戦(0-7)以来、2度目の先発を託した小島清監督(43)も「大野に尽きる。躍動感があった」と振り返った。

 大野の粘りの投球は小島監督の思惑も超えていた。ゲームプランでは4~6回で投手交代。5回のグラウンド整備時に本人に交代を告げた。しかし、大野は続投を直訴して7回までマウンドを守る。新井中時代は捕手で、高校で志願して投手に転向。キャリアの浅さを見せない。「真っすぐで攻めることができた。左打者にはカットボールが有効で、右には緩いスライダーが効果的だった」冷静なマウンドさばきだった。

 2年生投手の粘りが、想定外の大差勝ちにつながった。3-1の9回に大量5得点だ。北越は2安打、3四球で走者を出すと、相手バッテリーは2暴投、1捕逸などで自滅。接戦の緊張の糸は最後に切れ、あっけない幕切れになった。「ウチが先制して終始、先手を取っていたので」と、小島監督は精神的優位に立っていた展開が9回の大量得点につながったと分析した。

 昨秋の4強対決を制して北越は最初の大きなヤマを越えた。小島監督は「(優勝までの勝ち数まで)まだ7分の1だが、新潟明訓さんは特別な存在」と言った。そんな難敵を下したが、浮かれているナインは1人もいなかった。「あと6試合。1戦1戦に集中したい」と大野も口元を引き締めていた。【涌井幹雄】