30年ぶり春全道出場で激戦地区をかき回す。第58回春季全道高校野球地区予選の組み合わせ抽選が23日、全10地区のトップを切って、札幌地区で行われた。1989年(平元)以来の春全道切符を目指す札幌丘珠は、初戦で札幌開成中教校との対戦が決まった。遠軽を13年センバツ甲子園に導いた佐藤貴之氏(47)が今春、副部長に就任。聖地を知る指導者の経験を生かし、「令和」最初の全道切符を狙う。

再び“元年旋風”を起こす。札幌丘珠は30年前の89年、春全道初出場で4強に進出した。主将の鎌田優人捕手(3年)は「運命かもしれない。まず目の前の試合を1つずつ勝ち進めるように。自分たちの代で、令和最初の爪痕を残せるようにしたい」と意気込んだ。

甲子園を知る佐藤副部長が加わり、ムードは大きく変わった。今春新任の佐々木博章監督(48)も、ウイン北広島の内野手として97年の全日本クラブ選手権4強を経験している。新体制となった直後の3日、全国を知る2人の指導者と、主将の鎌田らで話し合い、3月まで「全道出場」だった目標を「甲子園出場」に上方修正した。佐藤副部長は「高校球児が一番輝く場所。大きな目標を明確に口に出すことで、モチベーションが上がる」と説明した。

13年春、21世紀枠でセンバツに出場し、強力打線を武器に甲子園1勝を挙げた遠軽同様、超攻撃的野球を目指す。14日の練習試合で札幌山の手に1-4で敗れた際、選手間で話し合い、どういうスタイルを目指したいか話し合った。チームの総意は「4点取られても5点取れる野球がしたい」。それまで打撃マシン2台で練習していたが、倉庫に眠っていた2台を出し、マシン4、打撃投手1の5カ所で打ち込む態勢に変更。全体に占める時間も60分から90分に延ばし、徹底した打撃重視型に切り替えた。

「みんな熱心。伸びシロを感じるし面白いチームになる」と佐藤副部長。大会中はベンチ入りできないが「スタンドからの方が、見えることもある」と言う。道東の公立校を最北の甲子園出場校へと磨き上げた経験豊富な指導者を加え、まずは令和元年の全道切符、さらにその先の進撃も見据える。【永野高輔】