主砲が目覚めた。福岡大会で今春九州大会を制したV本命、西日本短大付のプロ注目捕手、4番神宮隆太捕手(3年)が待望の1発を放ってコールド勝ちした。4回、久留米市野球場の右翼場外に消える特大の2ランで勝利を決定づけた。

球場が一瞬、静まりかえった。4番の打球が、高々と舞い上がり、右翼場外へ消えていった。神宮がゆっくりと一塁へ走りだす。「打った瞬間、行ったと思いました」。忘れかけていたアーチの感触をかみしめるように振り返った。

今年3月、春の九州大会県大会3回戦(対筑紫)以来となる公式戦アーチ。「久しぶりに出ました」。カウント0-2となってファウルで粘っているうちに、タイミングが合ってきた。「あと少しで捉えられる」。内角の直球を捉えた打球は、この夏に向けた「新打法」の成果でもあった。

神宮 ずっとポイントが前だった。変化球に空振りしてしまっていたし、フライも多かった。打つポイントをもっと手前にもってくる練習をしてきた。

引きつけて内角をさばいた高校通算25号に、本人も納得の表情だった。「ホームランは出なかったが、リード面でチームに貢献できればいいと思っていた。これからもそれは同じだが、打席ではチャンスで1本打てるようにしたい」と1打席に集中する。西村慎太郎監督(46)も「神宮にやっと1本が出た。あまり打撃に期待をかけすぎてはいけないが(フェンスを)はるかに越えていく打球が打てたのは、チームにとっても勢いがつく」と目を細めた。10年夏以来の夏甲子園へ。主砲の特大弾を号砲に、頂点への歩みを加速させる。【浦田由紀夫】

◆神宮隆太(しんぐう・りゅうた)2001年(平13)9月6日、福岡県筑紫野市出身。小学2年でソフトボールを始める。硬式の二日市ボーイズ時代に捕手となり、中学3年夏に九州選抜で世界大会を経験。高校では2年春から4番・捕手。好きなプロ野球選手はソフトバンク甲斐。180センチ、85キロ。右投げ左打ち。