北北海道大会は10日、準決勝2試合が行われ、旭川龍谷が旭川実を11-2の7回コールドで下し、92年夏の北大会以来の道大会決勝進出を決めた。1回途中から緊急登板の左腕、長谷隼兵(しゅんぺい)投手(3年)が6回1/3を被安打4、無失点と好リリーフ。3試合連続で途中登板し、いずれも勝利投手となった。クラークは武修館を10-0の6回コールドで下した。決勝は11日、旭川スタルヒンで行われる。

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またまた救援エースが、勝利を呼び込んだ。長谷は2点差を追いつかれた1回裏2死満塁で、先発市沢に代わり登板。この回をしっかり無失点で切り抜けると、打線にもスイッチが入り3回に4点を奪い勝ち越した。リズムに乗った長谷も、テンポよく打者20人で19アウトを積み重ね、同じ旭川地区の難敵を、7回コールドで退けた。「市沢が苦しんでいたので、何とか抑えて流れを変えたかった。みんなの援護のおかげ」と謙虚に振り返った。

長谷が登板すると不思議と流れが良くなる。高橋健監督(48)は「大会前は投げてみないと分からない投手だった」と言う。1年秋の地区からベンチ入りも好不調の波が大きく、背番号1は未経験。今大会も与えられた背番号は10番だった。だが、初戦の帯広農戦は0-5の4回から登板し、直後の5回に逆転。準々決勝の帯広大谷戦は1-3の4回無死から登板し8回に逆転、この日も同点に追いつかれた場面で登板し、勝ち越しを呼び込んだ。

長谷は「理由が分からない」と言うが、胸に秘めたリベンジの強い思いこそが、粘りの投球を引き出す原動力だった。昨春地区初戦の旭川実戦で、同点の7回に登板。9回1死満塁で旭川大雪ボーイズ時代のチームメート、渡辺にサヨナラ中前打を許し敗れた。今夏、組み合わせが決まった時点で、2勝して雪辱の機会をつかもうと心を固めていた。この日、渡辺には1安打を許すも要所を締め「あの負けは悔しかった。2回同じ相手に負けたくなかった」と口にした。

夏6回春4回甲子園出場の強豪も“北大会”優勝となれば35年前の85年までさかのぼる。以後、3度決勝進出も88年は滝川西、90年は中標津、92年は砂川北に初優勝を許した。「勝って笑顔で終わって、強い旭川龍谷のイメージを取り戻したい」。再び北北海道のてっぺんに立ち、復権ののろしを上げる。【永野高輔】

▽旭川龍谷・高橋監督(OBで90年北大会決勝進出時の正捕手)「私の時も決勝で中標津に負けているからね。今度は何とか勝ちたいです」