東海大菅生が日大三を破り、6年ぶり3度目の優勝を果たした。先発したエース左腕の本田峻也投手(2年)と、福原聖矢捕手(1年)はU15日本代表からバッテリーを組む仲。福原に向かって腕を振った本田は、7回1安打1失点7奪三振と好投した。旧知の2人が力を合わせ、4度目のセンバツ切符をほぼ確実とした。

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高校でもバッテリーを組みたかった。本田はU15日本代表活動中、同部屋で1学年下の福原を誘った。「俺は菅生で甲子園に行くけど、お前も来いよ」。その言葉が現実となる。

1度背中を打者に向け、インステップから放つ投球フォーム。打席の内側ギリギリに立って、外角球の対策をしてきた日大三の左打者陣にも攻め続けた。福原の「角度がある。左バッターは真ん中でもインコースの感覚。真ん中に構えていても詰まる」という分析に従った。追い込むまでは動きを止めずに、大まかに構える福原のミットに、真ん中でも良いという心の余裕を持って投げ込んだ。

本田は、今も同部屋の女房役へ「リードは任せている」と絶大な信頼を置く。大一番でも信じて腕を振り続け、許した安打は1本のみ。自己最速の143キロも計測した。「一番良かった。100点です」と納得の快投だった。

後輩を誘って同じ高校に進み、甲子園に出場する。念願をかなえる原動力は周囲の応援だという。「意識してスタンドを見たりしている。みっともない試合はできない」。来春のセンバツは有観客での開催で準備が進められている。新しい応援スタイルの中、最高の投球を披露する。【湯本勝大】