高松商の注目スラッガー、浅野翔吾外野手(3年)が初回初球先頭打者弾を放った。

丸亀との準決勝で高校通算63号。PL学園(大阪)の清原和博の記録に“王手”をかけた。逆転された直後の2回にも二塁打で攻撃をつなぎ、再逆転に貢献。チームは11-5で勝ち、2年連続22度目の夏切符へマジック1だ。

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1回裏。相手右腕の第1球、やや高めの直球を引っ張ると、白球は瞬く間に左翼芝生席へ吸い込まれた。球場がどよめく中、高松商の背番号8、浅野が悠々とダイヤモンドを回った。

「真ん中高めの真っすぐ。真っすぐを張っていた。詰まったと思ったがいい感じで打球が上がった」

今夏初戦だった10日坂出戦でも初回先頭打者アーチをかけており、2週間ぶりの通算63号。NPB通算525発の清原和博氏がPL学園で記録した64発にあと1と迫った。ただ数字そのものより「決勝の前に結果を出すことが出来たので、自信がついた」と打席の内容に手応えを深めた。

1点を追う2回無死一塁でも左越えに二塁打を運んで得点機を演出。1死から渡辺升翔(たかと)内野手(3年)が2点適時打で逆転すると、チームは確実に加点して相手を突き放した。浅野は両打ちで、サイド右腕が相手だった7回の第5打席だけ左打席に入った。唯一の凡退となったが、こちらも引っ張って右翼フェンスぎりぎりまで飛球を運び、能力を示した。

3打数2安打1打点、2四死球で4度出塁と1番の役目を全うし、決勝進出に貢献。長尾健司監督(52)は「落ち着いて、自分のスイングの形だったと思う」と目を細めた。この日も7球団が視察し、ヤクルト橿渕スカウトは「期待通りの結果を出す。スター性がある。積極性やプレースタイルは中日平田が出てきた時と似ている」と評価した。

チームの目標は甲子園で昨年の16強を超える8強。その切符をかけ、決勝は2年連続で英明とぶつかる。昨年は6-5で退けたが、昨秋は準々決勝で2-3、今春は決勝で3-13で返り討ちに遭った。「英明は悔しい思いで練習してきて絶対に進化している。負けないように食らいつきたい」。主将も務める浅野はチームの思いを力強く発した。【波部俊之介】

◆浅野翔吾(あさの・しょうご)2004年(平16)11月24日、香川県生まれ。小学3年時に野球を始め、屋島中では捕手。中3時にU15日本代表に選出され、アジア選手権優勝。高松商では1年夏の代替大会からベンチ入り。将来の夢はプロ野球選手で、目標の選手はアルテューベ(アストロズ)。高校通算63本塁打。170センチ、86キロ。右投げ両打ち。