大阪桐蔭の3度目となる春夏連覇の夢が消えた。下関国際(山口)に逆転負けし、8強で姿を消した。

昨秋の明治神宮大会、3月のセンバツを優勝。今大会も圧倒的な力を示してきた。土壇場の9回、強すぎるがゆえの宿命にのみ込まれた。1点リードで下関国際の攻撃が始まると手拍子が場内を包み込み、塁上を走者がにぎわすと一層大きくなった。

前田悠伍投手(2年)が1死二、三塁から4番賀谷勇斗内野手(3年)に2点中前打を打たれ、逆転されてしまった。西谷浩一監督(52)は「秋に優勝して春に勝った。プレッシャーを感じられるのは非常に幸せなこと」と話したが、地元大阪のチームにもかかわらず、相手を後押しする異様な空気感が支配した。

星子天真主将(3年)は「お客さんが手拍子して、のまれそうになった。2年生の前田が投げていたけど余裕がなかった。声を掛けられず、申し訳ない」と唇をかんだ。丸山一喜内野手(3年)も「拍手であったりは試合前から『絶対、鳴る』と言われていた。それに打ち勝てなかった自分たちが弱かった」と話した。

序盤から相手投手に苦戦した。1点リードの7回は無死一、二塁でバントエンドランを失敗して、三重殺を食らった。最後までリズムが悪かった。同校初の秋春夏3連覇を果たせず。西谷監督は「うまく勝ちに結びつけられず監督の責任。子どもたちは何一つ悪いことなく、最後の最後までやってくれた」とかばった。

敗者の列でナインは涙に暮れた。松尾汐恩捕手(3年)は号泣して「ゴメン…」と繰り返した。星子も、前田も、背番号1を背負った川原嗣貴投手(3年)も、みんな目を赤く腫らした。甲子園にひそむ「魔物」にのまれ、早すぎる夏の終わりを迎えた。【酒井俊作】