栃木の古豪に「超俊足」を武器にする切り込み隊長がいる。過去には夏の甲子園準Vにも輝いた宇都宮工の1番中山鳳(ほお)外野手(3年)が、母校を37年ぶりの夏の甲子園に導く。
不動の1番を務める絶対的な理由がある。通算盗塁数は数えてないが、「高校での盗塁失敗は2~3回。塁に出れば盗塁する」という俊足を誇る。守備ではセンターを守り、「外野に飛んだ打球は全部捕る」とグラウンドを駆け回る。30メートル走のタイムは、プロでも上位に入る3秒68。憧れだという阪神近本の3秒87をコンマ2秒も上回る。
宇都宮工は、練習のほとんどをシート打撃やゲームノックなどの実戦形式で行う。中山も日々の練習で「(実戦形式では)チームメートに盗塁を読まれた中で、盗塁を仕掛けたり投手の気を引いて打者有利に持ち込む」と、自慢の足を生かすために全力を注ぐ。大森一之監督(56)も「実戦形式で守備と走塁にも重点を置いてきた。中山はチームにとって大きな存在」と全幅の信頼を置く。
俊足の裏には中学時代の陸上経験がある。北犬飼中では鹿沼ボーイズに所属しながら学校の陸上部にも所属。「足は当時速くなかったが、ジャンプが元々得意だった」と走り幅跳びに取り組んだ。だが、ジャンプの形に苦戦。そこでフォームを改善すべく30メートルダッシュに取り組んだ。「クラウチングスタートの姿勢から音を聞いて瞬間的にパワーを出す。野球は耳ではなく目で反応するけど、瞬時にパワーを出すのは陸上と同じ。陸上をやっていて良かった」と胸を張る。
「鳳(ほお)」という名前の由来は、とり年の05年生まれから。宇都宮工の夏甲子園出場は1986年が最後だが、中山は「県内の公立校といえば宇都宮工。私立の壁を破って甲子園に行きたい」と意気込む。中国神話伝説の鳥である「鳳(おおとり)」のように、自慢の足で栃木の高校野球史に伝説の1ページを記す。【黒須亮】

