中央学院(千葉)が宇治山田商(三重)に競り勝ち、初の8強入りを果たした。野手と投手の二刀流・颯佐心汰(さっさ・ここた)内野手(3年)が、5番遊撃手で2安打1打点、6回途中からリリーフに立って8回に1点差に迫られたが、力強い真っすぐを武器に逃げ切った。ラーメン居酒屋の息子が熱々な戦いを提供した。青森山田もタイブレークの末、広陵(広島)にサヨナラ勝ちし、3度目の出場で初の8強入りを果たした。

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粘り強さでは誰にも負けない。7-4で迎えた8回。6回途中からマウンドに上がった颯佐は1点差に詰め寄られても強い気持ちは忘れない。1死二塁から得意の真っすぐで空振り三振。さらに一邪飛に仕留めリードを守り切った。「負けたくない気持ちをボールにぶつけられました」。

2試合連続で二刀流の活躍だ。5番遊撃で先発出場し、3回には2死一、二塁から右前適時打。「どんな役割でも勝ちたい気持ちが強い」。攻守の要として宇治山田商の勢いを飲み干した。

両親譲りの“コシの強さ”だ。実家は千葉県内で人気のラーメン居酒屋「遊遊亭」を営む。その名物が「こしょうソバ」。「モチモチの麺にコクのある野菜あんかけ濃厚スープ。たっぷりのこしょうで、ピリリと辛さがうまい」。熱い粘り強さが、体に染み付いている。

昨秋、新チームから取り入れた部内部活では、クッキング部に所属。「常に、おいしいチャーハンを追求しています」と、大好物のラーメンではなく、チャーハンに挑戦する、クッキングも二刀流? で「この調味料を入れたらどうかな…」と普段からイメージを膨らませ年末のクリスマスでチームメートに振る舞う。味にも妥協なしのこだわりぶりだ。

両親への熱々な思いも忘れない。小2で野球を始めたが、いつも自主練習は壁当て。「お店が休みの月曜日に父がキャッチボールの相手をしてくれるのが1番の楽しみでした」。両親が働く後ろ姿を見て育ち、その苦労を心に刻んだからこそ、道具の大切さは身に染みて感じている。最初に買ってもらったグラブは今でも宝物だ。「活躍して、両親に感謝の気持ちを伝えたい」。この大舞台での活躍に、思いを込めた。

チーム初の8強入りを決め勢いに乗る。「気持ちでは負けないように、チームや家族のために、腕を振るだけ」。次は手際良くサッサと料理する。【保坂淑子】

 

【センバツ】8強目指し大阪桐蔭-神村学園、報徳学園-常総学院など4試合/速報中