西武十亀剣投手(27)が抜群の安定感で日本ハムとの首位攻防第1ラウンドを制した。球威、制球ともに申し分なく、8回まで相手打線を完璧に抑えた。9回は中田の2ランで今季チーム初完封は逃したが、チームの連敗を止め、自身4連勝とした。打線も今季初スタメンの大崎雄太朗外野手(30)が1号ソロを放つなど、西武では5年ぶりの先発全員の毎回安打で5得点を奪った。
十亀は大局を見ていた。9回、今季最多の128球目を中田に左翼席上段まで、かち上げられた。「明日に向けて向こうに流れを持たせたくなかった。完封したかったけど、最後は情けない」。完封を本気で狙っていた。第2戦の先発はルーキー佐野。「先輩としていい流れをつくってあげたい」。後輩のために相手の戦意を根こそぎ刈るつもりだった。だからわずか1発も、カクテル光線を浴びるお立ち台で自分を責めた。
価値ある初戦勝利だった。菊池のローテ順だったが、昇格直後の左腕は中5日の前回登板などを考慮され、十亀がカード頭を託された。野上が背中の張りで登録抹消され、首位のチームも連敗中で札幌に乗り込んできた。「絶対に勝たないといけないという意識だった」。覚悟を決めて腕を振った。最速147キロの直球を軸にスライダー、カーブ、シンカーをまぶし、相手を幻惑させた。4回から7回まで3者凡退と試合を支配した。
昨夏、頑強な肉体が悲鳴を上げた。もともと抱えていた股関節痛が限界を超えた。昨年7月を最後に1軍から消えた。球界での症例が少ない故障で手術は受けずに保存療法を選んだ。「何で痛くなるのか、痛みの出ない投げ方を考えるようになった。投げられない悔しさを味わったので」。再発する可能性と隣り合わせで、覚悟を決めてマウンドに立ち続けている。
投げられる幸せを感じる。「リハビリしてくれた人、治療してくれた人、本当に感謝している」。5戦連続で7回以上を投げた。安定感は随一。「岸さんが帰ってくるまでいいチーム状況を維持したい」。先発ローテのど真ん中に十亀がいる。【広重竜太郎】




