孤軍奮闘だった。広島の4番新井貴浩内野手(38)が、先制打を含む3安打猛打賞を記録。通算安打を1902本とし、今季中の偉業達成も射程圏に入れた。だがチームは攻守に精彩を欠き、3連敗。本拠地マツダスタジアムでの連敗は球団ワーストタイの7連敗となった。4番のバットから、停滞感打破のきっかけをつかみたい。
息を吐くと、しばらく言葉を飲み込んだ。試合後も新井の表情は厳しかった。悔しさを押し殺すように、言葉を吐いた。
「今日は何もない、何もない。…悔しいよね。明日もあるわけなので。悔しいけど、明日しっかり…」。
自身は先制打を含む3安打で、無安打に終わった前日の借りを返した。しかし、チームは3連敗。直前に3連勝しながら、乗り切れない状況が続く。「こういうこともあるので、しっかり耐えて。前へ、前へ。頑張っていくだけです」。新井はナインの思いを代弁するように、声を絞り出した。
勝利への思いはバットに注いだ。この日ストライクゾーンに来た10球中、見逃したのは1球のみ。9球すべてフルスイングだ。1回1死一、三塁は、追い込まれてから低めの球をファウルし、浮いた5球目を捉えた。3回は中堅手の前に落とし、5回は中前にはじき返した。
8回は遊撃正面にゴロを打ったが、一塁まで全力疾走だった。そんな新井の姿こそ、今の広島に必要だ。春季キャンプでは早出特守や居残り特打を直訴。シーズンに入ると、年下の迎打撃コーチ補佐に助言を求め、日々修正を重ねてきた。入団時から変わらぬ姿勢を貫き、この日の3安打で通算安打数を1902本とした。背中を追い続けた野村謙二郎氏や前田智徳氏らが成し遂げた偉業まで、残り98本。出場46試合で48安打は、残り89試合で92本打てるペース。ペースを守れば今季は1994本となる。出場46試合のうち11試合が代打出場。それでもこれだけ打っているのなら、今季中の2000本達成も夢ではない。【前原淳】



