虎が来た。阪神が逆転勝ちを飾り、首位巨人に0・5ゲーム差に迫った。先発藤浪晋太郎投手(21)は6回5安打2失点で自身4連勝での5勝目をマーク。自身最速タイの158キロも計測。藤浪自身は日曜日の本拠地登板でプロ入り後、いまだ負けなし。サンデー晋ちゃんの粘投でチームを3連勝での借金完済に導いた。

 藤浪はヘルメット姿のまま、初夏の青空に突き上げた両手をぶつけた。同点で迎えた6回裏1死満塁、8番鶴岡の代打狩野が右越え2点二塁打を決めた。そのまま9番打者として、打席に向かう意気込みだった。結局は自身も代打を送られ、6回2失点で降板。粘った証しとはいえ、5勝目はホロ苦い味がした。

 「力みというか、久々のマウンドで力加減、バランスをつかめないまま投げてしまった。決め球が決まらなくて、自分の首を絞めてしまいました」

 交流戦明け休みの影響で中10日のマウンド。直球、変化球ともに抜け球が顔を出し、甘くも入った。腕の縦振りがしっくりこない時の典型だ。2回に自身最速タイの158キロを計測しながらも、コツコツとファウルを稼がれ球数がかさむ。2四死球1安打の3回こそ無失点で耐えたが、1-0の4回に逆転を許した。

 先頭から2安打1四球で無死満塁とされ、一塁ゴメスのボーンヘッドも絡んで内野ゴロ2本で2失点。この回だけで35球。6回を115球では降板も致し方ない。それでも最後は状態を立て直した。先発試合でのチームの連勝を6に伸ばし、自身4連勝は最長タイ。95奪三振はリーグトップを快走中だ。日曜日の甲子園マウンドに限ればプロ入り後、無傷の自身5連勝。苦しんでも勝つ。大黒柱のマウンドさばきだった。

 この日は「父の日」でもあった。1週間ほど前、母明美さんと買い物に出かけ、父晋さんへのプレゼントに麦焼酎を選んだ。父は夕食後に麦焼酎の水割り、お湯割りをたしなむ機会が多い。実家に帰った際、藤浪が父の晩酌に付き合う時もあるという。家族ならではの粋な贈り物。そこに白星を追加した。父は野球を教えてくれた恩人。両親が甲子園で生観戦した一戦、「勝ってくれれば一番いいんですけど…」と願っていた母の期待に応えた。

 チームは勝率を5割に戻し、首位巨人に0・5ゲーム差。「野手の皆さんに感謝したい」。藤浪の言葉に象徴される通り、投打がようやくかみ合ってきた。混セを抜け出す準備は、整いつつある。【佐井陽介】

 ▼阪神藤浪が「サンデー甲子園5連勝」となった。日曜日の本拠甲子園登板は、13年4月14日DeNA戦のプロ初勝利(6回5安打無失点)を皮切りに、同年6試合に投げ4勝(2試合は藤浪に勝ち負けつかず)した。14年は本拠で日曜日の登板なし。今年は4月12日広島戦と同19日巨人戦でいずれも勝ち負けがつかず、この日はチームが再逆転し勝利投手。自身の敗戦は1度もついていない。