チームの勝利のため、野球小僧になって出直す。巨人村田修一内野手(34)が9日のジャイアンツ球場での練習後、心境を激白した。今季は打率2割2分2厘で3本塁打、打順も7番と苦しんでいる。今日10日からの阪神との首位攻防3連戦(東京ドーム)を前に、若手時代の支えになった昭和歌謡「野球小僧」の歌詞に出直しを誓った。首位固めに欠かせない通算312本塁打の強打者が、前半戦残り6連戦を日本シリーズモードで臨む。

 スマートフォンの画面を見つめる村田の表情が、みるみる変わった。土砂降りの雨が降りしきる、ジャイアンツ球場。帰宅しようと愛車を発進させた直後、運転席の窓越しに、野球人生の“原点”といえる昭和歌謡の歌詞を見た。

 灰田勝彦の「野球小僧」。横浜(現DeNA)時代、野球をする喜びを歌った名曲の歌詞にほれ込み、よく聞いた。鍛錬と失敗の日々で、自分を重ねては励まされた青春ソングの歌詞に、視線を奪われた。

 頭の中で、口ずさむ。「野球小僧がなぜくさる♪」。眉間のシワがとれ、硬い表情がほぐれていった。愛車のギアをバックに入れ、邪魔にならないよう道の端へ。雨粒が入り込むのもいとわず、運転席の窓を少し開けた。「今は3番(の歌詞)ですかね」とのつぶやきが独白の合図だった。

 村田 僕も昔は野球小僧で、ここまで野球をやってきました。今は、野球人生の最終コーナーは回っていると思うんです。だから、ここから最後の長い直線を、どう楽しく走れるか。ただ楽しく野球をやるというのではないと思います。野球ができる喜びを持って(グラウンドに)立ちたい。

 苦しんでいる。本来の打撃が鳴りを潜め、5月には右太もも肉離れで戦線離脱。復帰後もふるわず、打率2割2分2厘で3本塁打。打点9と期待された得点力を発揮できず「7番」に座る。ずっと守ってきた巨人のホットコーナーも、同じ三塁手のルーキー岡本が6日の1軍練習で高評価を得た。前後の主軸が軒並み状態を上げてきた新打線で、「7番」がもうひと息。球団が強打の新外国人を調査中という情報もある。厳しい立場に立たされているからこそ言葉が熱を帯びた。

 今日からの伝統の一戦は首位攻防戦でもある。阪神の先発メッセンジャーは難敵だが、悲壮感はない。

 村田 フォームとかいろいろ考えて小さくなっていたと思います。やっぱり気持ちでしょ。(投手から本塁の距離)18・44メートルで戦っている。やるか、やられるか。甘い球が来たら積極的に打つ。そして勝ちに少しでも貢献したい。(6連戦は)短期決戦のつもりでいきます。頑張りますよ。

 少しほほ笑んでウインドーを閉め、強くアクセルを踏んだ。13年間、長距離砲として走ってきた。自負はある。自信もある。生粋の野球小僧が今日、東京ドームで暴れてみせる。【浜本卓也】