勝利が遠い。いや、1点が遠い。崖っぷちの阪神が9月4度目の完封負けを喫し3位に転落した。8月4日以来、2カ月ぶりの降下。前日21日ヤクルト戦のVTRをみるような1死満塁、打者大和の局面が2回に訪れたが、強攻からの三振で生かせなかった。勝てば同率首位…と盛り上がってからの連敗でヤクルトと3ゲーム差に大後退だ。
重苦しさばかりが残った。明日なき今日を戦ってきたはずの和田阪神が、まるでエース藤浪で落とした前日21日のダメージを引きずるかのような0封負けを喫した。8月4日以来の3位転落で、目の前にいたはずの首位ヤクルトと3ゲーム差。指揮官の表情も言葉も、重かった。
和田監督 いずれにしてもゼロでは勝てないな。岩崎も5回までよく投げたけど…。
巨人のエース菅野に対して、絶対に先手を取りたい試合だった。最初の好機は2回1死満塁、打席には大和-。前日の舞台が再現されたようだった。ベンチの選択は強攻策。速球を続けてファウルして追い込まれると、最後は外角スライダーに空振り三振。振り返ってみれば、最大のチャンスだった。
大和 何とかあそこで1本打てれば、違っていたと思う。その前(2球目)ファウルしたのをしとめられていれば違った。1試合、1試合、切り替えていくしかないです…。
前日、甲子園でのヤクルト戦。同点の6回1死満塁で、初球スクイズをファウルしてしまった。勝ち越し機を生かせず、チームは敗れた。大和はその汚名を返上することができないまま、この日も3打数無安打に終わった。
スクイズの選択肢はなかったのか。試合後、そう問われた指揮官は少し驚き、しばし沈黙した後に、こう絞り出した。
和田監督 次、考えるわ…。
まだ2回で、満塁という難しい状況だ。強攻策はセオリーだっただろう。ただ結局、大和の表情はさらに暗くなり、だれも救われない敗戦になった。8番に置く“守備の人”に好機がまわっていく巡りの悪さ。鳥谷が1度も出塁できず、マートンも9打数連続無安打…。福留、ゴメスの前に走者を置けなかったのが最大の敗因だろう。
和田監督 先頭打者が頑張らないとな。そこで初めて攻撃のリズムができてくる。とにかく向こうも(先発岩崎が)初ものでてこずっている中で、先制点を取れれば全然、違っていたと思うんだけど。
この状況では的確な分析が余計にむなしく響く。残り9試合。優勝へは1歩も引けない状況だ。
和田監督 もちろん。前を向いていくしかないんで。もう、深く考えんと…。ただ、このままでいいとは決して思っていないんで。しっかり策を練ってね。選手も諦めていないんで。まだまだいくつもりで。
指揮官の締めの言葉にも勢いがなかった。目の前の一戦を戦ってきたはずの虎が、敗戦を引きずり始めたのが気がかりだ。【鈴木忠平】
▼阪神の3位は8月4日以来。8月1日ヤクルト戦(甲子園)で敗れて首位から陥落(巨人が首位浮上)。翌2日の敗戦時点で首位ヤクルト、2位巨人に次ぐ3位まで落ちた。4日の負けでは首位(巨人)に1・5ゲーム差となった。5日に連敗を止めて2位に戻り、以降は3位に落ちることはなかった。
▼阪神が今季16度目の完封負けを喫した。対戦相手の内訳は巨人と広島が5、中日が3、ヤクルト、ソフトバンク、オリックスがそれぞれ1。相手先発投手別では巨人菅野にやられたのが2度目(5月19日の4安打完封負け含む)で、広島前田、中日若松の先発時にも2度ずつ無得点に終わっている。
▼和田監督となってから、年間のシャットアウト負けは12年23度、13年21度、14年12度だった。今季は8月末までに12度に到達し、9月は4度目。特に同月11日と13日は、甲子園での広島3連戦の1戦目(黒田先発)と3戦目(前田先発)に0封負けする屈辱だった。



