下克上を狙うロッテが、難敵を攻略して初戦を制した。「2015 SMBC日興証券 クライマックスシリーズ パ」(CS)ファーストステージ第1戦は、打線が11安打9得点と爆発し、日本ハム大谷を3回途中でKOした。2回1死満塁から今江敏晃内野手(32)が逆転3点二塁打。05年、10年とシーズン優勝は逃しながら日本一に上り詰めた。5年周期の「ゴールデンイヤー」に再び頂点を目指す。
今江には想定外だった。大谷とは今季3打数無安打。相性から1年ぶりの8番に入った。「上位につなげばいい」と気楽に構えていたら、0-1の2回1死満塁で巡ってきた。「いきなりチャンスか。おいおい」と心で苦笑い。それでも、初球ファウルの後の2球目159キロを引っ張り、すごい勢いで左中間を割った。走者一掃、逆転の3点二塁打だ。右翼の一角を占めるファンに右手を上げた。「大歓声の中でやるのは本当に気持ちが良いですね」と笑みがはじけた。
打線に勢いを付けた。3回は2死走者なしから福浦、クルーズ、鈴木の3連続二塁打で2点追加。今季2完封負けと苦にしていた大谷をKOした。6安打は、全て150キロ超の直球を打ったもの。伊東監督は「変化球の精度が良くなかった。打ちやすいカウントになれば、直球も打てる」と満足げにうなずいた。前日「直球を狙う」と宣言した通りのチーム打撃で、大きな壁を打ち崩した。
下克上の本領発揮だ。9月20日時点で3位西武と1ゲーム差の4位だったが、翌日から12勝2敗のハイペースでフィニッシュ。逆転3位でCS進出を決めた。そして、初戦に快勝しファーストステージ突破に王手をかけた。
今江もポストシーズン男の本領を見せた。05年、10年の下克上日本一では、ともに日本シリーズMVP。22歳と若かった05年は「目立てるぞ、と。小学校の友だちとか、連絡がなくなった人も見てくれる」。レギュラーに定着していた10年は「(前年に)亡くなった母に。福祉活動を始めたから、施設の子どもたちにも見せたかった」。この日の一振りも、多くの人たちに届けた。
万全ではない。札幌入りした7日、シーズンの疲労からか、歩くのもしんどくなった。宿舎に着くと、知り合いのトレーナーに片っ端から対処法を聞いた。前日の練習を座薬で乗り切り「試合でつぶれたら、しゃあないです」と吹っ切ったように言った。7月中旬に左手首骨折。2カ月近く離脱した分、CSにかけている。自軍を「みんな、勢いに乗ると強い」と見る。今江だけじゃない。勝ちたい。活躍したい。純粋な欲の集まりが、白星を生んだ。【古川真弥】
◆ロッテのポストシーズン 3試合制のプレーオフ、CSでは05、07、10、13年に次いで第1戦に5戦5勝。過去4度はすべて突破し、バレンタイン監督の05年、西村監督の10年はレギュラーシーズン2位以下から日本一。05年以降のポストシーズン27勝中、この日を含め逆転勝ちが15度。
◆短期決戦男 福浦は05年阪神との日本シリーズで満塁本塁打を放つなどポストシーズン通算打率3割7分。今江は日本シリーズ出場2度ともMVPを獲得。05年以降のポストシーズン勝利打点は里崎に並ぶチーム最多の4度と勝負強い。清田は新人の10年に日本シリーズ優秀選手賞。



