阪神が来季監督を要請しているOB金本知憲氏(47)の決断が秒読みとなった。関係者によれば、球団はCS敗退が決まった直後から新体制への移行を加速させたい方針で、金本氏もそれを認識しているという。金本氏は10日、富山県・黒部市で講演し、悩める胸中とともにタイガースへの感謝と恩返し、チーム改革の意志ものぞかせたという。今日11日にはラジオ解説で東京ドームを訪れ、CSファーストステージ第2戦を見届ける。

 阪神と来季監督交渉を行う金本氏は、和田阪神が最後のCSを戦っている裏で、富山にいた。黒部市で行われた講演会は聴衆でぎっしり。やはり話題は監督就任問題へ及んだ。聴講者によれば、OB会長川藤幸三氏やOB亀山努氏の名前を出すなどジョークを交えながらも、胸中を明かす場面があったという。

 例えば、今回の要請について両親と話した時のこととし「うちのお父ちゃんは『いい話だから、やったらどうだ。お前ならできるんじゃないか』と、すごい積極的になって。逆に母が心配性で。『もっとゆっくりしたら? もういいんじゃない? 阪神はしんどいよお。新聞とかネットとかひどいねえ』と。なんか(両親の性格が)逆転してますよね。若い時と」などと披露した。

 講演では「指導者」への意欲を問われた。「ないことはないですよ。あります。そのタイミングが大事ですよ」。02年オフ、広島からFA宣言した際は嫌いだった「虎」への気持ちを聞かれた際は「今ではすごく感謝しています。いつか、どこかで。いつか、どこかでですよ。恩返しできたらという思いは常に持っていますね」。阪神監督への強い意志を示しながらも、特にタイミングの問題を悩んでいることがうかがえたという。

 阪神南球団社長は交渉について沈黙を貫いているが、関係者によれば、8日に行われた第2回交渉でも慎重な姿勢を崩さない金本氏に対し、球団首脳がそろって全面的なバックアップを約束し説得したという。

 この日チームは巨人に敗れ、今日にも今シーズンすべての戦いを終える。そうなれば球団は翌日にも和田監督の退任会見を行い、新体制への移行を加速させる方針。決断のタイミングが迫っていることは金本氏も認識しているという。

 講演の最後、聴講者が今季の阪神の勝負弱さを嘆くと、この時ばかりは真顔になっていたようだ。

 「勝負根性がなかったですね。土俵際での。それとモチベーションが低かった。緊張感がないですね。(ネットなどで)話題にもなりましたが、東京ドームで2連敗し、ほぼ優勝がなくなった試合で、鳥谷と福留が笑いながら話していて、横でマートンが鼻くそをほじっている。それが今年の雰囲気を象徴しているんじゃないかと」

 胸には猛虎改革への“熱”がある-。決断は秒読みだ。

<阪神監督問題経過>

 ◆9月23日 巨人にサヨナラ負け。自力2位が消え、和田監督は退任危機に立つ。

 ◆24日 坂井オーナーと南球団社長が緊急会談。和田監督の進退は順位確定まで見守る方針を確認。

 ◆25日 広島に3-0で勝利するも和田監督の退任が確実に。後任は球団OBを中心に選定される方針も判明。

 ◆26日 広島入りした南社長と和田監督が直接会談。

 ◆27日 広島に連敗し、優勝が消滅。

 ◆28日 来季新監督をOBの金本知憲氏に要請するよう最終調整に入った。

 ◆30日 電鉄本社での坂井オーナーと南社長のトップ会談で金本氏に正式に監督要請することを決定。

 ◆10月1日 南球団社長が金本氏と交渉を持ち、監督就任を要請。

 ◆4日 金本氏は宮城・名取市で講演。監督問題について初めて公の場で発言。質疑応答で「タイミングさえ合えば」と語った。

 ◆8日 球団と第2回交渉。金本氏は慎重な姿勢を崩さず返答も見送り。