ぶっつけ本番でもギータは全開だ。シーズン終盤、死球による左脛骨(けいこつ)骨挫傷で先発を外れていた柳田悠岐外野手(27)はCSファイナルステージ初戦から3番中堅で出場し、3回に復活の同点2ランを放った。史上初めて首位打者とトリプルスリーを同時達成した柳田が、実戦を離れていた不安を一振りで拭い去った。
延長10回、柳田はサヨナラ打を放った内川に向かって笑顔で駆け寄った。1死一、三塁から最後は敬遠気味に歩かされ、満塁の好機で4番にバトンを託していた。CS初戦。劇的な勝利を引き寄せたのは、ぶっつけ本番で出場した柳田だった。
見るものの不安を一掃する、豪快なアーチをたたき込んだ。2点を追う3回だ。1死二塁からロッテ大嶺祐の外角直球を逆らわずに左翼スタンドへ運んだ。
「フルスイングしました」。2点先制を許した直後。05年、10年に続きまたもロッテにやられるのか…という「下克上」ムードも、一刀両断した。
9月26日に死球を受けた左膝は左脛骨(けいこつ)の骨挫傷と診断された。以降は先発出場を外れ、8日の打撃練習では首の起立筋を痛めた。治療と別メニュー調整で回復を最優先。紅白戦は12日のわずか2打席。それでも、この日の状態を見て、首脳陣はシーズン同様に「3番・中堅」で起用した。工藤監督が「ずっと(守備で)試合に出ていなかったのはあるが、打線全体の安心感はあるんじゃないか」と話した通り、文句なしの1発を放った。
シーズン終盤の8試合は、最後3試合に代打で1打席ずつ出ただけに終わった。「(試合に出ないと)クッソ暇ですよ」。不完全燃焼していた思いをバットにぶつけた。足はまだ万全ではないため、32盗塁をマークした足技は期待できない。だが、この日の試合前のフリー打撃では37スイングで13本の柵越え。トリプル3の要素である長打力は健在だった。
5年周期の下克上を果たしに、福岡へ乗り込んできたロッテ。柳田が戻りベストオーダーとなったソフトバンクに、2度ある悪夢の3度目はない。【石橋隆雄】



