巨人の“0の呪縛”を解いたのは、開幕スタメンを目指す大砲候補だった。1点を追う5回1死二塁、岡本和真内野手(19)が同点の適時二塁打を放った。チームとして、25イニングぶりの得点を49イニングぶりの適時打でマーク。西武のエース岸から放った価値ある一打でチームを乗せ、7回には三塁のレギュラー争いを繰り広げる村田修一内野手(35)が勝ち越しの2点適時打を放ち、チームの連敗を5で止めた。

 ゼロに終止符を打ったのは、「一新」を担う若武者の一打だった。24イニング連続無得点で迎えた5回1死二塁、岡本が適時二塁打を放ち、待望の得点をスコアボードに刻んだ。「(無得点など)打席では考えていませんし、どんな状況でも同じ。ランナーをかえそうと思っていたので良かった」。笑顔はなく、結果だけを冷静に受け止めた。

 打席では、無心だった。直球3球で追い込まれた後、高めのカーブを選球。カウント2-2から2球続いたカーブを左翼線にはじき返した。「何も考えてないです。反応した」と振り返ったが、打ったのは西武エースの伝家の宝刀だった。

 試合前の打撃練習だった。三塁側のベンチから、アーチストのオーラをまとった男が、熱視線を送った。本塁打王を6度獲得する中村だった。ウオーミングアップ前の貴重な時間に、岡本の打撃を凝視。その目は真剣だった。

 中村 (ボールとの)間がいいと思ったし、スイングもきれいだなと感じた。軽く振っても、ボールが飛んでいたもんね。

 右の長距離砲で、守備も三塁。同じ系譜をたどる何かを感じたのだろうか。珍しく、おかわり流のアーチストへの道を語った。「僕は練習では、バランスが崩れるギリギリの形で振って、本塁打を打つ練習をする。(岡本も)振った方がいいんじゃないですかね」。重みのある言葉を並べた。

 岡本にとっても、夢のような時間だった。無心だった打席とは対照的に、ドキドキで憧れの背番号「60」をウオッチング。「ほんまにすごいです」と次々と柵越えする中村のフリー打撃を見入って、将来の未来予想図に重ね合わせた。開幕スタメンの座を巡って、村田と繰り広げられるサバイバル。その先に、大砲への道が続く。【久保賢吾】