ケンカが勝利への絆を育んだ。7回2失点で3戦ぶりに3勝目を挙げた先発高木勇人投手(26)がお立ち台で“告白”した。「苦しくて誠司とも何回かケンカをしました」。破局危機の相手は恋女房役の小林誠司捕手(26)だった。

 高木は2戦連続KO中で2人は登板間で何度も話し合った。インコースの使い方など議論が多岐にわたる中、ヒートアップして感情をぶつけ合うこともあった。前回登板では小林誠が今季初めて先発落ちし、酸いも甘いも知る古女房の39歳相川が高木の相手を務めた。

 だが、しこりは残らなかった。小林誠は「同級生だから思ったことをワーっと言っちゃう。でも向こうも言いやすいと思う。感情的になってぶつかったけど、野球の話だからいいことだと思う。言えることはしっかり言い合って、何とかプラスになれば」と受け入れた。

 2回、バレンティンに12号ソロを浴び、雄平に左前打を許し、雲行きが怪しくなった。だがいつもと違い、ズルズルもつれなかった。畠山から3人で断ち切り、6回も2死から山田、バレンティンの連打で1点を失ったが、瀬戸際で踏ん張った。小林誠から「1人1人打者に向かっていくことが大事。智之(菅野)みたいに抜くところや、ピンチでギアを上げるのではなく、回の先頭から丁寧に行くことが大事」との助言を忠実に実行した。

 高木は「絶対に勝つと思って毎日過ごしました」と決意を示した。強い思いがあるから衝突も起きる。恋女房とのケンカの先にあったのは、“勝利との復縁”だった。