鳥谷の「セカンドストーリー」が始まった。阪神は今季の甲子園初戦となる広島戦で、鳥谷敬内野手(35)が3番二塁で先発した。開幕遊撃は5年目北條を有力とした金本監督が、新たな勝負の場として鳥谷に準備した。4年前のWBCで守った経験はあるが阪神では初となる二塁鳥谷が、17年版ベストオーダーの重要なパーツになりそうだ。

 本拠地甲子園のグラウンドに柔らかな太陽光が降り注ぐ午前9時25分。サングラス姿の鳥谷がなぜか、二塁守備位置に向かった。上本と2人、ノックを受け始めた。時には声を上げ、笑みを浮かべ…。25分間、二塁から離れない。それから3時間近くが過ぎ、「3番二塁鳥谷」が聖地にコールされる。2万346人の観客がどよめいた。

 鳥谷 WBCでしかやったことがなかった。違和感がないことはないですよ。今日の守備位置が深いかどうかも分からないので。

 実は聖望学園、早大のどちらでも二塁でデビューしている。ただ、プロではオープン戦、公式戦を通じて初の二塁守備だ。13年WBCで守って以来のポジション。探り探りでゴロ1度、飛球を2度、併殺処理を2度、無難にこなした。

 金本監督は鳥谷二塁について「チーム状況を考えて。二塁も三塁もすぐできると言っていたから」と説明した。鳥谷はオフ、指揮官に遊撃一本勝負の希望を伝えた。22歳北條とのバトルは後輩に軍配が上がりそうな情勢だ。北條は好調のまま「キャンプMVP」にも選ばれた。早くも開幕遊撃に北條が有力となる中、前日4日のオーストラリア代表戦後、高代ヘッドコーチから、広島戦での二塁先発を伝えられた。

 金本監督 だいぶ前から(二塁を守らせるのは)決まっていたんよ。キャンベルによってはサードもあるし。準備だけはしておいてもらわないと。

 金本監督は経緯について「秘密。何回か話はしています」とはぐらかしたが、鳥谷はキャンプ終盤、指揮官から直々に二塁、三塁守備の可能性を伝えられている。二塁レギュラーが決まっていない状況。実力、実績を踏まえれば鳥谷は一躍、開幕二塁の最有力候補に躍り出たと考えられる。

 鳥谷 (起用法は)自分が決めることではない。言われたところでやるだけ。

 開幕三塁を計算されたキャンベルは左手首のけんしょう炎を抱え、キャンプ打ち上げ以降、まだバットすら握っていない。今後は有事に備えて三塁、遊撃の準備も進めていくが、現状のチーム構成で最も鳥谷がフィットするのが二塁。開幕スタメンの青写真が徐々に浮かび上がってきた。【佐井陽介】

 ▼鳥谷が二塁の守備についたのは、オープン戦と公式戦通じ阪神では初。1軍戦で遊撃以外での守備は三塁だけで、1年目の04年に30試合(うち先発13試合)、昨年16年17試合(同15試合)。なお13年WBCでは二塁手として6試合(先発3試合)に出場。また、オールスターで14年第2戦、15年第2戦で二塁先発。