気になる新人が結果を残した。巨人のドラフト5位田中俊太内野手(24=日立製作所)が17日、今季初の対外試合となる中日との練習試合に「2番三塁」で先発出場。2ストライクに追い込まれてからしぶとく進塁打や犠飛を放つなど貢献度の高い打撃で、3打数2安打1打点の活躍を見せた。実兄は広島の田中広輔で、期待の新人が厳しい内野争いを勝ち抜き、開幕1軍入りへアピールを続ける。

 偉人の言葉を体現した。初回、無死一塁。巨人田中俊に打席が回ってきた。カウント1-2から、一塁走者吉川尚が二盗に成功。カウント2-2、無死二塁と変わり「何としても走者を進められるように」と意識を強めた。5球目、内角高め141キロ直球を引っ張り、一ゴロで走者が三進。続く陽の先制点をアシストした。「バッティングも守備も役割がある。イメージをしながら、打席に入ってうまく整理できた」と振り返った。

 エーブラハム・リンカーン米大統領の名言を心に刻む。「意志あるところに道は開ける」。東海大時代、本の中で偶然見つけたフレーズだ。自らの道を開くには強い意志を持って取り組まなくてはならないと教訓にした。第2打席では1死満塁、2ストライクと追い込まれてから犠飛。「最低限はフライ。我慢して打つことを意識した」と明確な意志を結果に結びつけた。

 開幕メンバー入りを争う伸び盛りの木だ。グラブの内側には、日立製作所のシンボル「日立の樹」を刺しゅうしている。「Inspire the Next」の言葉を選ぶ同僚が多かったが、「この木なんの木 気になる木」で有名なイラストをあえて選んだ。ハワイにそびえる樹齢約130年、高さ25メートルの生命力にあふれる木。「まだ見たことがない。優勝旅行で行けたら最高ですね」と社会人時代からの夢を口にする。

 気になる新人は、高橋監督から「今日、良かった。全部の打席に内容があったと思う」と評価された。田中俊は「まだまだ足りないところがある。そこを強みにできるようにキャンプに励んでいきたい」と引き締める。本格化する実戦での内野手争い。どっしりと根を張るための準備をし、見たこともない花を咲かせる。【島根純】