広島が一丸野球で中日を破り、連勝を今季最多の9に伸ばした。緒方孝市監督(50)が、22日朝に死去した父義雄さんの通夜、葬儀に出席するため、就任5年目で初めて欠場。

高信二ヘッドコーチ(52)が監督代行を務める中、大瀬良が気迫の投球で今季3度目の完投勝ちを収めた。会沢が4号2ランでアシストし、守備陣も再三の好守で支えるなど、1つになって弔い星を届けた。

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監督代行として広島を9連勝に導いた高ヘッドコーチは、ベンチ裏でかみしめた。「監督がいない中、1試合だけですけど、勝ってゆっくりお父さんを送ってもらえるのはよかった」。午前9時ころ、緒方監督から父義雄さんがこの日死去したことを、電話で伝えられた。84歳だった。チームを離れた監督に「頼みます」と後を託された。同監督の欠場は就任5年目で初めて。悲しみに沈む指揮官のため、勝つしかなかった。

ナインの思いも同じだった。先発大瀬良の奮闘に呼応するように、女房役の会沢が1点リードの5回に4号2ランをかっ飛ばした。ロメロの外角直球を右翼ポール際へ。「監督のためにじゃないけど、監督がいなくてもしっかりしたゲームができてよかった」。6回先頭の守りでは三塁小窪が三遊間の強い当たりをダイビングキャッチし、一塁に2バウンド送球でアウトに。9回の守りでは、先頭阿部の一、二塁間を抜けようかという当たりを、二塁菊池涼が芸術的なスライディングキャッチで阻んだ。

ナインはジェットコースターのようなシーズンを、監督とともに歩んでいる。3連覇中の王者として臨んだはずが、一時は借金8、首位に7ゲーム差の最下位に沈んだ。打線が機能せず、守備もミスを連発。そこから猛烈に巻き返し、2度目の8連勝で初の単独首位に立ったところでの訃報だった。連勝を途切れさせるわけにいかなかった。

高ヘッドは「今日は(大瀬良)大地に尽きる。打つ方も会沢がいいところで打ったし、守備も菊池がよく守った。小窪もいいプレーが出た」とねぎらった。そして「こういう引き締まったゲームを、あさってからの東京ドームでもやっていきたい」と話した。緒方監督は24日巨人戦から再び指揮を執る予定。しっかりと連勝のバトンを渡す。【村野森】