金字塔を打ち立てると同時に、3連勝を呼び込んだ。西武中村剛也内野手(35)は狙っていた。7回2死三塁、カウント3-1で外角のツーシーム。外へ逃げる中日大野雄の決め球を「引っ張ったらゴロになるし、右側を少し意識して振りました」。まさに狙い通り、右中間スタンドへ放り込む2戦連発の11号同点2ラン。9回には勝ち越しの2点打。いずれもトップ独走の交流戦通算75本、打点は202の大台に乗せた。

15年分の重みがつまった1発は、頭の中で整理されていた。大野雄の持ち球を「真っすぐとあれ(ツーシーム)とスライダーしか基本ない。まあ、あの球は狙っていました」。交流戦が始まった05年からプレー。記念すべき交流戦1号も中村から始まった。「最近よく記録のことを聞かれるけど、本当に何とも思っていない。長いことやらせてもらっているんで記録につながっているだけです」。交流戦通算記録には目もくれないが、体には気を掛けるようになった。

6月に入ってから、新兵器「ハイパーボルト」を導入した。筋膜をほぐすポータブルマッサージ器。練習前に太ももや腰に当て血流を促進する。「ヒースが使っているのを見ていいなあと思った」と数万円で購入。昨季は6月まで3発も、今季はすでに11発。「去年はすごい波があった。今年は低いところで小さい波で頑張ってます」と疲れ知らずで結果につなげている。

400本塁打まであと4本。プロ野球19人しか達成していない記録に「早く打ちたいっすね。早く達成したい」。ホームランバッターらしく、最後はこだわりをのぞかせた。【栗田成芳】