巨人亀井善行外野手(37)が、日本シリーズに新たな歴史を刻んだ。

1回、ソフトバンク・バンデンハークの154キロ直球を右中間席へ。1点を追う3回1死には、右翼ポール際の5階席に飛び込む特大の同点ソロを放った。「打つしかないから。それしかないよ」。先頭打者本塁打からの2打席連発は、日本シリーズ初の快挙だった。

15年目を迎え、積み上げた打撃技術は球界でも一目置かれる。それでも、勝負どころで力を発揮するために一番大事なことを「最後は気持ち」と断言する。今季も5月23日のDeNA戦、0-0の4回無死一塁でバントを2球ファウル。ヒッティングに切り替わった直後に「絶対に当てんと。気持ちを出した」と先制の適時三塁打を放った。

中大の先輩でもある阿部が引退を表明したあの日から、特別な「気持ち」を持って、グラウンドに立ち続ける。「もちろん、思いはいっぱいあるよ。語り尽くせない。でも、それは阿部さんと自分の心の中で大事にしておきたいから」。1敗すれば、即敗退の土俵際。秘めた思いを4連勝で花道を飾ってもらうシナリオにつなげたい。

3打席目以降はソフトバンクのリリーフ陣に抑え込まれ、2打席連続で凡退し、ベンチから敗戦を見届けた。「1本出たんで、明日も何とか。もう瀬戸際。追い込まれたので、勝つしかないです」。気持ちを前面に出し、突破口を開く。【久保賢吾】