ソフトバンクのセットアッパーが復活! ペイペイドーム改称初戦となった阪神とのオープン戦で、岩崎翔投手(30)が8回の1イニングをピシャリと抑えた。

最速152キロもマークし、17年最優秀中継ぎ投手が再び「8回の男」の座に当確ランプをともした。昨年のセットアッパー甲斐野が故障で不在の中、岩崎が今季の救援陣の「大黒柱」に名乗りを上げた。

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観客がいたら、大歓声があがったかもしれない。8回2死走者なし。この回から登板した岩崎が、阪神熊谷から3球三振を奪った。2ストライク目から2球連続で外角への直球。152キロを連発して、見逃し三振だ。熊谷にバットを1度も振らせなかった。セットアッパーの完全復活。新型コロナウイルスの感染拡大防止として無観客だったペイペイドームで、ファンの歓声はなかったが、岩崎は胸を張って一塁側ベンチへ引き揚げた。

岩崎 直球は良かった。(開幕までの)あと数試合では変化球の精度を上げていけばいい。

岩崎の中で、直球は仕上がった。宮崎キャンプの最終日に「フォームのなかで、ポイントが見つかった。言葉にすると難しいが、左足の上げ方の感覚です」。それまではしっくりいかずに「モヤモヤしていた」感覚が「これじゃないかというのがあった」とクリアになった。わずか7球で3人を凡打に仕留めた。すべて直球。故意に直球勝負を挑んだわけではないが、あまりの調子の良さに7球続けた。最高の結果だった。

17年、主に「8回の男」として大ブレークした。守護神サファテの前に、森、モイネロらと救援陣を支えた。10年の勝利の方程式「SBM」と呼ばれた1人、摂津の71試合登板を上回る年間72試合に登板。46ホールドとともに球団新記録を樹立して、最優秀中継ぎ投手のタイトルも手にした。あれから3年。「いい時の状態に近くなっている」。右肘痛と戦い、3度の手術を経て見事に復活した。「今年は1度、状態をゼロに戻して、心と体が一体となるように仕上げていきたい」と目標を定めて調整を進めてきた。成果は、この日のラスト2球の連続152キロに凝縮されていた。

開幕投手候補の東浜が先発し、8回は岩崎、9回は森につないだ。敗れはしたが、今年の勝利のパターンを試すような継投に工藤監督も「岩崎は手応えを感じてくれたと思う。こういう投球を続けてくれれば本人の自信につながる」と合格点を与えた。昨年のセットアッパー甲斐野不在の開幕。20年版「勝利の方程式」に、岩崎は欠かせない存在になる。【浦田由紀夫】