ソフトバンク栗原陵矢捕手(23)が特大弾を放って、開幕スタメンをアピールした。阪神戦の7回に内角低めをすくい上げ、右翼席中段に130メートル弾。打撃力を買われ、捕手だけでなく外野、一塁を守るユーティリティー。今季対外試合6試合連続安打で実戦打率4割を超える男が、スタメン奪取を視野に入れた。

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誰もいない右翼席中段ではねた打球の音が、ペイペイドームに響き渡った。7回にソロを放ったソフトバンク栗原自身も「自分でも驚きでした。最高でした。過去、自身で一番飛んだかもしれません」と振り返る当たりだった。

今季、対外試合初出場となった23日オープン戦(対オリックス、宮崎市清武)の第1打席で右前打を放った。それから練習試合3試合、オープン戦2試合と6試合連続安打をマークした。19打数8安打2打点で打率4割2分1厘。この日は特大アーチで打撃力アップを証明した。

栗原 キャンプから取り組んでいる強いスイングが少しずつ結果に出ている。試合では1日1本(安打)という思いで試合に臨んだので、継続できたのは良かった。

スイングも構えも豪快だ。昨年、パ・リーグ首位打者の西武森をほうふつさせるテークバック。右足を上げ、左足にじっくり力をためる。「早め、早めに始動して、力をためることに取り組んでいる。自分のタイミングで球を待つことが大事だと思っている」。パンチ力向上はその構えにあった。

今年の対外試合6試合で捕手はもちろん、一塁、左翼、右翼を守った。工藤監督も笑みが絶えない。「素晴らしいですね。打撃はいい状態が続いている。捕手だけでなく、外野も一塁も守れるし、このままいってくれれば期待できると思います」と開幕スタメンの可能性も示唆した。王球団会長も「大きかったね。かなり飛んだんじゃないか。どんどん打ってもらいたい」とご満悦だった。

試合後には捕手としての「居残り特守」もこなした。「試合に出られるならどこでもいい」。首脳陣をうれしい悲鳴で悩ませる男が、開幕までアピールし続ける。【浦田由紀夫】

◆栗原陵矢(くりはら・りょうや)1996年(平8)7月4日生まれ、福井県出身。春江工では1年夏から正捕手を務め、2年春にセンバツ出場。3年時は甲子園不出場ながら高校日本代表の主将に選出。14年ドラフト2位でソフトバンク入団。17年6月13日巨人戦でプロ初出場。19年は32試合に出場し、打率2割3分1厘、1本塁打。179センチ、75キロ。右投げ左打ち。