4番のバットが力なく空を切った。4-6と2点差まで追い上げた5回だ。

2死一、三塁の場面。カウント1-2から阪神大山悠輔内野手(25)は広島森下の4球目、外角カーブを捉えられず空振り三振。さあ、追いつけ、追いこせ! そんな虎党の期待はため息に変わった。下位打線からチャンスメークしても中軸がかえせない…。矢野監督も「4、5(番)がピシャッと止まってるから」と悩ましげだ。

明暗がくっきりと分かれた。鈴木誠の「代役」として4番に入った松山は、3安打4打点と大暴れでお立ち台に登った。一方、虎の4番は7回にも二塁併殺に斬られ、9回は中飛で最後の打者に。5打数無安打、これで14打席連続ノーヒットだ。7月は打率2割9分9厘、8本塁打とV字回復の使者となった男が、8月はまだ6試合ながら打率1割2分5厘、0本塁打だ。

球界最年長の43歳福留を2番に置く驚きの用兵で試合に臨んだ。矢野監督は「コウスケは代打だけとは思っていない。経験も豊富。どの打順でも置ける」。中日時代以来となる20年ぶりとなる2番で大ベテランは1安打1打点。チャンスを演出したが、クリーンアップ3人が合わせて11打数1安打。中軸が期待に応えられなかった。

矢野監督は大山に「その打順を打ってる自覚とプライドというのはあると思う。前を向いて4番にふさわしいバッターになってくれたら」と奮起を促す。首位巨人とは6ゲーム差の4位。振り向けば5位広島は1ゲーム差に迫る。試合の結果に直結する4番のバット。大山の復調なくして真夏の逆襲はあり得ない。【桝井聡】