抜群のコースに収めてきたツーシームが、少しだけ浮いた。8回無死。ロッテ中村稔弥投手(24)は打者24人目に初安打を許し、ノーヒットノーランの快挙を逃した。

7回まで2四球のみの投球をしていれば、さすがに気になる。「8回に意識しました」とお立ち台で告白し、ファンを笑わせた。8回途中1安打無失点。見事な今季2勝目だった。

制球が落ち着いていた。カウント3-1になったのは、打者24人中2人のみ。「前回の投球はバランスが悪かったので、しっかり練習してやってきました」。

投球後、体が右側に倒れていたことに気がついた。「それで制球も乱れていたので、右足で立つことを投げ終わりに意識したのがよかったと思います」。軸がしっかりしたフィニッシュは見栄えも良かった。

10個のゴロは、ほぼ内野手の正面に転がり、10個のフライは定位置近くに上がり続けた。二塁を守る中村奨は「しっかりと投げ切っていたので、打者が打たされていたのかなと思います」と言った。井口監督も「彼らしい打たせてとる投球だったんじゃないかな」と安心して見ていた。

8回先頭まで93球。「8回もしっかり投げきりたかった」と、最後までマウンドにいられなかった悔しさは残る。それでも堂々と胸を張り、しっかり腕を振ってベンチへ歩く中村稔に、スタンドからは惜しみない拍手が送られた。【金子真仁】