梅野の穴はオレが埋める! 阪神陽川尚将内野手(29)が、プロ7年目で初の2番起用に先制アーチで応えた。初回1死、先発柳の縦に割れる外角スライダーを振りぬいた。「感触は良かった。『行ってくれ』と思いながら走っていました」。4号ソロは右中間席ギリギリに着弾。ゴリラキャラから名付けられた「ゴリラパンチ」で先手を奪った。

代役起用への1発回答だった。ここ6試合で2番を務めていた梅野が、この日右腹斜筋の筋挫傷で出場選手登録を抹消。正捕手で打率2割8分3厘と、攻守に欠かせない選手会長の離脱は大きな痛手となったが「どの打順でもやることは変わらない。僕自身は頑張るだけ」と平常心で挑んだ。アマチュア時代を含めても初めてという打順にも気後れせず。抜てきした矢野監督は「いい働きを見せてくれている。何とか気持ちでしようと思っていることを結果として出せるような形にはなってきている」と合格点を与えた。

今季の4本塁打は「勝ち越し弾」が2本、「逆転弾」が1本、「先制弾」が1本。いずれも肩書付きのアーチで存在感を発揮している。7月24日にはプロ初の1番も務めた。井上打撃コーチは「ユーティリティーでやらないと試合に出られないよ、というくらいの気持ちでやってほしい」と奮起を促すが、外野手の激しいスタメン争いに食い込む覚悟はできている。指揮官も「本人も必死なんじゃないかな」と、その姿を認める。

6回には先頭で中前打を放ち、大山の逆転満塁弾の呼び水となった。「回の先頭ということで、なんとかクリーンアップにいい形でつなげたらと思って」。梅野の離脱は痛いが、虎のゴリラが勢いに乗ってきた。【只松憲】

▽阪神井上打撃コーチ(陽川の2番起用について)「魅力がある。あいつは7番打たせたり、2番打たせたり、1番もね。ユーティリティーでやらないと試合出られないよ、というくらいの気持ちでやってほしい」