力と力の真っ向勝負が勝敗を決めた。0-0の延長10回無死。ロッテ沢村拓一投手(32)が150キロ直球を左翼席へ運ばれる痛恨の1発を被弾。移籍後初黒星を喫し、首位ソフトバンクとのゲーム差は2に開いた。打った西武エルネスト・メヒア内野手(34)は、4番の意地のフルスイングで決勝弾。負ければ自力Vの可能性が消滅するチームを勝利に導き、上位争いに踏みとどまった。まだまだパの熱い戦いは続く。

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嫌な衝撃音が響いた。ロッテ沢村がカウント1-0から投じた150キロは、高々と夜空へ消えていった。両手を腰に当て、唇をかむ。力勝負に敗れた。

責められない。ここ2週間で8度目の登板。9月に巨人からの電撃移籍で入団し、力強く腕を振り続けた。1発を打たれてもなお、防御率は1・86。奪三振率は13・03。リリーフ陣に疲労がたまり始める秋に、チームの救世主になっている。井口監督も「投手に本当に申し訳ないなと思います」と声を落とした。

先発二木は8回まで西武打線を3安打無失点に封じた。本来8回を任される沢村が準備する必要がないほど、淡々とアウトを重ねていった。「中継ぎがいま頑張っているので、そこに託しましたけど、これは投手のせいじゃないと思います」と指揮官は繰り返した。

2日連続で1点差負け。6回以降に7四球をもぎとるも、3度の併殺などで誰もホームを踏めなかった。打てない。それでも、沢村がベンチで新しい仲間たちを鼓舞する姿がある。チーム防御率は4・09と3点台が見えてきた。野手たちがきっと、一番分かっている。逆転優勝は、打つことでかなう。【金子真仁】