あっという間の3イニングだった。巨人井納翔一投手(34)が25日、移籍後初の対外試合となる中日との練習試合(沖縄セルラー那覇)に先発し、3回1安打無失点と危なげない投球を見せた。無走者での平均投球間隔は昨季セ・リーグのスピードアップ賞に輝いた巨人戸郷の10秒8を大きく上回る9秒45(日刊スポーツ調べ)。テンポ良く投げ込む「進撃の宇宙人」が開幕に向け、臨戦態勢に入った。

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井納はサインにうなずくと、すぐに投球モーションに入った。3回2死、岡林への初球。審判の「プレー」の声がかかると、この回最速となる5秒23でリリース。カウント1-2からは10秒6の間を置いて、遊ゴロに打ち取った。「調子としては悪い方だと思うのですが、自分自身もリズムに乗って投げることができた。投げ急ぎはしない中でテンポを上げようと」。走者を許したのは1回の1人だけ。どんどん波に乗った。

中日打線に考える隙を与えなかった。この日の無走者時の平均投球間隔は9秒45。ウサイン・ボルトの持つ陸上男子100メートル走の世界記録(9秒58)を上回るペースで投げ込んだ。「配球を考えさせないように。打たされた打球は、ヒットよりもゴロになる可能性が高い。だからテンポは大事」。最速146キロの直球を中心に力で押し、3回で6つのゴロアウトを奪った。

「紳士たれ」と言われる巨人への入団が決まってからは毎日ヒゲをそるようになった。そり残しがないように、最新の電気シェーバーを買いに家電量販店へ向かった。自分に合ったものを求めて店員に相談。店員からは「肌に優しいパナソニック」か「深ぞりのブラウン」の2通りを提示された。毎日そることを考慮し「より肌に優しい方がいい」とパナソニック製を選択。皮膚をいたわりながら、身だしなみを整えている。

離れた家族との癒やしの時間からパワーをもらっている。宿舎では息子とニンテンドースイッチのマリオカートでオンライン対戦。テレビ電話もつなぎ、会えない時間を埋めている。次回登板は3月3日のヤクルト戦の予定。移籍後、本拠地初登板となる。「結果を残して、ローテーションに入りたい」。身だしなみもバッチリの「進撃の宇宙人」が、次回登板も一瞬で相手をねじ伏せる。【久永壮真】

巨人原監督(井納について)「真っすぐも走っていましたしね。パワーピッチャーという意識を持ってくれれば、あの変化球もかなり生きてきますよ。今日は思っていた通りのパワーピッチャーで良かったと思います。(投げるテンポも)いいですね」