由伸のために-。オリックス宗佑磨外野手(24)が、決勝の1号2ランを放った。同点の7回2死一塁。今井の初球、120キロカーブを捉えた。

コンパクトなスイングを心がけ「欲しがらずに(吉田)正尚さんに回そうと打席に。良い角度で飛んでくれた」。右翼スタンドへの着弾を確認すると雄たけび。一塁側ベンチ帰還後もジョーンズやラオウ杉本から手荒い祝福を受け、大きく叫んだ。

「やっぱり、由伸で勝ちたい。チームが勝っていくには由伸の1勝が大事になる。きっちり(8回まで)由伸が投げてくれたので僕の本塁打が生まれた。『ありがとう』と言いたい」

今季初のお立ち台。真横に立つ山本に、愛のあるメッセージを送って照れた。

支えてくれた母のために-。「ずっと恩返しをしたいと思っています」。宗は今季、春の宮崎キャンプへの搭乗券を手にすることはなかった。1月中旬に左足裏を痛め、大阪・舞洲のリハビリ組で調整。「キャンプに行かないなんて想像もしていない。でも、焦っても仕方ない。ベストを尽くすだけ」。そんな時、数日に一度、心配そうに母のミカさんが自宅にやってきた。「整体の仕事をしていて…。僕、一人で住んでいるので家で足を看てくれたんです」。ありがたみを感じ、あらためて恩返しへの思いを強くした。懸命の巻き返しで開幕スタメンを勝ち取った。

チームは6カードぶりの勝ち越し。中嶋監督は「ヒットかなと思ったけど、まさかのホームランでした」と喜んだ。宗は「自分の仕事をするだけ。明日も勝って3連勝したい」ときっぱり。中嶋オリックスの反攻を引っ張る。【真柴健】