「ハマの虎」が真っ向から4年連続日本一の王者のタカにかみついた。DeNAの4年目、中川虎大(こお)投手(21)が6回4安打1失点と好投。これまで自己最長が4回だった右腕が、がっぷり四つの好ゲームを演出した。

立ち上がりから全力を出した。「先のイニングを考えず1人1人全力でアウトを積み重ねていくことを意識して投げました」。1回に柳田に二塁打を打たれたが、これは左翼佐野がボールを見失ったもの。150キロの直球にスライダー、フォークを交えながら、実質的には無安打投球を続けた。

3回には栗原に左中間へ運ばれた。しかし、この打球は2試合ぶりにスタメン復帰した中堅桑原将志がダイビングキャッチ。「光さんのリードや野手の皆さんに守ってもらってゲームを作ることができました。ストレートに力が伝わっていたので打者に向かっていけました」。5回にも甲斐の中前に落ちそうな飛球があったが、これも桑原がスライディング捕球した。3回に味方がオースティンの適時打で1点を挙げており、5回には勝ち投手の権利を得た。

6回、先頭の牧原大に左前打を浴びた。1死後、栗原にランエンドヒットを決められ、1死一、三塁のピンチを迎えた。4番柳田を149キロ直球で遊撃ゴロに打ち取ったが、併殺崩れで同点に追い付かれた。「先制してもらったのに追いつかれてしまい申し訳ないです」。続く中村晃に四球、長谷川に内野安打を許した。ずるずるいきそうな気配も漂ったが、甲斐を迎えると最後の力を振り絞った。この日最速となる154キロで追い込むと、153キロで右飛に打ち取った。追加点を与えなかった。

プロ初勝利を逃した中川は反省の弁を口にしたが、三浦監督は高評価を与えた。「非常に良かった。ボールに力があり、腕の振りもよかった。最初から最後まで。打たれたくないより、抑えてやろうとしていた。今日の投球は大きなものをつかんだ。(6回)ガタガタいかずに抑えたのは財産になったと思う」と手放しでほめた。次回も先発起用することを明言した。中川も「しっかりと準備して次回登板も頑張ります」と闘志をかきたてた。

敵将のソフトバンク工藤公康(きみやす)監督は命名の元となった存在だ。母がファンで「公」も「康」も「こう」と読めるため、「こう」と名付けようとしたが、姓名判断で中川姓に合わないことが判明。そこで「こお」に変更し、父が阪神ファンであることから「虎大」となった。名付け元への恩返しの初勝利とはならなかったが、パ・リーグにも名前を知ってもらえるほどの好投となった。【斎藤直樹】