ソフトバンク千賀滉大投手(28)が29日、東京五輪の侍ジャパン候補に急浮上した。

左足首の靱帯(じんたい)損傷から復帰を目指す右腕は、3軍戦の大分B-リングス戦(タマスタ筑後)に登板。5回1/3を投げて4安打2四球1失点(自責0)、最速156キロをマークした。視察した侍ジャパンの建山投手コーチは「有力な候補の1人であることは間違いない」と話した。

巨人中川が左肋骨(ろっこつ)骨折で代表を辞退し、代役を探しが急務の課題だ。同じ左腕の楽天松井やDeNA今永も候補に挙がるが、建山コーチは「右左のバッター関係なく、自分の力さえ出せば抑える力を持っている」と説明。17年の第4回WBCなど、日本代表で活躍した経験も買い、リリーフとしての適性を認めた。ただ「戦術として変えていくのか、左投手を補充してブルペンの細かい継投でやっていくのか、我々も決めていない部分もあります」と、検討中の段階とした。千賀の今後の登板を見る時間的な猶予はなく、数日中に決断を下すという。

千賀は「稲葉さんだったり、建山さんにはいつも声をかけてもらっていましたし、そこに応えられるように、リハビリでも下を向かないようにと思っていた。しっかり準備をしようとは思っていた」と表情を引き締めた。この日は99球を投げ、100球程度という目標をクリア。早ければ7月6日のロッテ戦で1軍復帰する可能性がある。前半戦絶望的とも見られた故障から3カ月。驚異的な回復で、表舞台に帰ってくる。

◆侍ジャパンの千賀 16年秋の強化試合で代表初選出。17年WBCでは第2先発として活躍し、4試合の登板で防御率0・82、16奪三振を記録。大会終了後には主催者が選ぶ表彰選手の「オールスターチーム」に、日本代表からは唯一選出され、最優秀投手にも選ばれた。19年のプレミア12でも代表に選出されたが、右肩違和感のため出場を辞退した。