滴る汗を、両手で拭った。オリックス若月健矢捕手(25)が4回、勝負を決定づける1号3ランを放ち、お立ち台で拍手を浴びた。

プロ8年目での通算7号に「久しぶりに芯に当たったので、ビックリしました! (感触は)久々過ぎて…。よくわかんなかった」とマイクを持って叫び、どっと沸かせた。

1点リードの4回2死一、三塁。高めにきた鈴木のスライダーを左翼席に運んだ。今季は伏見らとの併用が続き「打たないと試合に出られない。上を目指して頑張るだけ」と必死だった。昨年7月31日の日本ハム戦以来、334日ぶりのアーチ。ベンチは中嶋監督を筆頭に、拳を突き上げまくるお祭り騒ぎになった。

試合前には指揮官から打撃指導と“愛のムチ”をもらった。「(内容は)企業秘密」としながら「1割7分の打者じゃないだろと。2割2分の打者だろ! と…」。ジョークも交えたゲキに1発回答で応えた。

若月には画面越しの癒やしがある。遠征先などでも「嫁とフェイスタイムです。ネコをメインで映してもらいながら。もなかちゃん。本当は“くん”ですけど、どんどん大きくなってるのが、またかわいいんですよね」と生後8カ月の茶トラの愛猫が、胸を和ます。

チームは11年ぶりの9カード連続負け越しなしで、再び今季最多タイの貯金8。6月は16勝4敗3分けと12の勝ち越しで、再び単独首位に立った。若月はスタメンマスクで直近5連勝。「(新背番号の)2番のグッズ、買って帰ってください!」。最後は営業の仕事もばっちり決め、心地いい汗をぬぐった。【真柴健】