東京オリンピック(五輪)に出場する侍ジャパンに追加招集されているソフトバンク千賀滉大投手(28)が9日、再調整のため、出場選手登録を抹消された。左足首の靱帯(じんたい)損傷から3カ月ぶりの1軍復帰登板となった6日のロッテ戦で、自己ワースト10失点で3回途中KO。大舞台の開幕が迫る中、不安を残す結果となった。今後は2軍で実戦登板を重ね、東京五輪で金メダルを目指す。

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千賀が、2軍から五輪という異例の調整で金メダルを目指す。

この日のオリックス戦前の練習。千賀は先発陣に交じって通常通り、ペイペイドームで調整を行った。一方で、モイネロが1軍に合流。中継ぎ左腕と入れ替わる形で姿を消した選手はいなかった。抹消する選手を問われた工藤監督は「千賀君です」と明言。午後4時の公示で、エースが出場選手登録を抹消された。

当初は本拠地での13日楽天戦で五輪前最後の登板に向かう予定だったが、その機会がなくなった。監督は、抹消理由をこう説明した。

「ピッチングコーチの意見も聞いた中で、やっぱり状態がなかなか上がってこなかった。もう1度、ファームでしっかり投げた方がいいんじゃないかというふうに思っています」。

左足首の靱帯(じんたい)損傷から3カ月ぶりの1軍復帰登板となった6日のロッテ戦では、自己ワーストとなる10点を失い、3回途中KO。開幕が迫る東京五輪に向けて弾みをつけたいマウンドで、まさかの結果に終わった。指揮官は「彼自身のピッチングを取り戻すには、ちょっと時間をかけたほうがいい。しっかり自信を持った状態でマウンドに上がる方が彼らしいピッチングが見られる」と分析。2軍で実戦登板を重ね、大舞台への準備を整えていく。

追加招集が決まったとき、千賀は「出られなくなった投手の分まで、これからしっかりコンディションを整えて日本代表チームの力になりたいと思います」と話した。代表への思いは強い。チームは首位オリックスに今季最大5・5差をつけられ、苦境に立たされているが、工藤監督は「(復調を)ファンのみなさんも待ち望んでいると思う。『頼むぞ』と言いました」と、エースの背中を押した。一から自分を磨き直し、日の丸を背負う。【只松憲】

▼投手陣の起用法はまだ流動的な部分がある。先発候補だった菅野、希少な左腕でセットアッパーを期待されていた中川が辞退し、構想を再構築する必要が出てきた。

田中将、山本、森下、大野雄に追加招集された千賀が先発候補になる。1次リーグから5連勝で金メダル、進展次第では8試合となる変則方式で先発は4枚が見込まれる。山本、千賀は救援の適性もあり、トーナメントの進捗(しんちょく)状況などを含めて幅広い起用法が予想される。

変則投法の青柳はチームでは先発だが、2番手以降で試合序盤から中盤にかけて長いイニングを任せることもできそうだ。伊藤も奪三振能力が高く、大学時代は守護神を務め、救援での起用となりそうだ。岩崎は純正の中継ぎ左腕。プレミア12の守護神山崎はセットアッパーから復調をつかみつつある。経験値を積み上げている段階だが平良、栗林は守護神として機能している。勝利の方程式をどのように組み立てるかも金メダルへのカギとなる。