阪神秋山拓巳投手(30)が5回を粘って投げ抜き、チームトップタイの8勝目を挙げた。これで20年からの広島戦連勝を「8」に伸ばした。この広島戦8連勝は過去に村山実(12連勝)や江夏豊(10連勝)ら虎のレジェンドも達成してきた記録だ。

「広島も対応の変化もあったけど、しっかり粘りながら。5回だがしっかり投げられたのでよかった」

秋山が「対応の変化」と表現したのは変化球に対してだ。「フォークを振ってこない。引っ張りにきていたのもあった」。相手打線の変化を感じ、ストレートを効果的に使った。5回までに直球で6つの三振を奪った(変化球では1つ)。セットで長く球を持ったり、クイック投法でタイミングを外したり、140キロ前半の直球を持ち前の投球術で速く見せ、広島打線を封じた。

3回2死二塁では鈴木誠の打球が右腕に当たったが動じなかった。何球か確認の投球をして痛みを感じさせない笑顔でマウンドに戻った。「投げると判断したので、言い訳にならないようにしっかり投げ切れた」。2死一、三塁のピンチを遊ゴロで脱し、グラブをポーンとたたいた。

無失点に抑えたが、5回降板は悔しい結果のようだ。「5回しか投げていない。迷惑かけている。しっかり調整して次はしっかり投げられるように頑張ります」。先発陣の柱として、勝っても満足しなかった。【前山慎治】

▼秋山は20年7月21日から広島戦8連勝となった。今季は5試合に投げ4勝、防御率1・84はともに対セ球団別では最良と、安定感あふれる投球を続けている。