広島林晃汰内野手(20)が、値千金の6号2ランを放った。阪神戦に「8番三塁」で出場。5-4と1点差に迫られ迎えた6回1死一塁で、小川の直球を右中間スタンドまでかっ飛ばした。自身11試合ぶりの1発で、鈴木誠の高卒3年目の5本を上回った。チームは3連勝で、後半戦初のカード勝ち越しを決めた。この日、母校の智弁和歌山が夏の甲子園で決勝に進出。2年前に卒業した先輩が、最高の“激励弾”を届けた。

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林が、母校に豪快な“エール”を届けた。阪神が猛追し、1点差に迫られて迎えた6回。1死一塁。1ボールからの2球目だった。阪神小川の真ん中143キロを完璧に振り抜くと、打球はきれいな放物線を描いて右中間席に着弾。ベンチでは喜びを爆発させた鈴木誠らから手荒い祝福を受け、満面の笑みを浮かべた。

「真っすぐ系が来ると思っていたので、しっかりそれが1発ではじけたので、よかったと思います」

この日、母校の智弁和歌山が夏の甲子園で決勝に進出。大きな刺激を受けた。「自分も負けていられないと思って、必死に頑張りました」。8月の月間打率は2割を切るなど苦しんでいた。打順を8番に下げながらも、11試合ぶりの1発が、勝利を導く千金弾となった。阪神の先発は智弁学園OBの村上。2回1死から迎えた第1打席では初球をさばき、左前に運んだ。29日に決勝を迎える“智弁対決の前哨戦”でも、後輩に勇気を届けた。

試合前練習で、復調のきっかけをつかんだ。鈴木誠と同組でフリー打撃を実施。最近、主砲が広報に頼んで取り組んでいる打撃の動画撮影に林も参加し、鈴木誠から助言をもらったという。「初球から振れない状態は調子が悪くなるときだと言われました。(鈴木誠は)本当に野球への向き合い方、そういうところがすごい。1打席1打席の気持ちから違う。その中でも打撃のことも聞けたりするので、本当にいい経験だなと思います」と振り返った。

兄弟校の智弁学園については「当然交流がありますし、いいライバル関係にもあります」と説明。「後輩たちには優勝を目指して頑張ってほしいと思いますが、両チームとも悔いのないよう全力を出し尽くして、好ゲームを期待しています」と、高校野球史に残る名勝負を願った。

お立ち台の最後には「智弁対決なので、しっかり和歌山に勝ってもらって、僕も勢いに乗って、後半戦も頑張っていきます」と力強く宣言した。母校にパワーを送り、パワーをもらう。負けてはいられない。【古財稜明】

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