西武が118試合目にして今季初のサヨナラ勝ちを決め、自力CSの可能性が復活した。同点の9回2死から森が二塁打で口火を切り、柘植がヒーローになった。2者連続四球で満塁の場面で代打起用。「ずっと落ちる系(フォーク)が頭にはあったけど、それが最後に来て、すくえてよかった」。カウント1-2と追い込まれながら左前へ運び、歓喜のウオーターシャワーを浴びた。

プロ2年目で初のサヨナラ打。名前の世那(せな)は、元F1ドライバーのアイルトン・セナと、一世を風靡(ふうび)した人気ドラマ「ロングバケーション」で木村拓哉が演じた瀬名が由来。社会人野球のホンダ鈴鹿でドラフト5位指名を受けた際は、セナが活躍した鈴鹿サーキット隣接のホテルで会見した運命もあった。本職の捕手での起用は限られ、代打でも今季8打席無安打だったが、殊勲の1打で長い沈黙から目覚めた。

前夜に消滅した自力CS進出の可能性は、1日で復活した。残り25試合。3位楽天とは6・5ゲーム差。「サヨナラヒットというのはチームに勢いがつくと思う。1戦1戦絶対勝つという気持ちを強く持って、全員で戦っていきたい」。このサヨナラ勝ちが、最終コーナーからのラストスパートを加速させる。【栗田成芳】

▽西武辻監督(今季初のサヨナラ勝ちを呼び込んだ柘植に)「バッティングは素晴らしいものを持っていると思う。今のベンチに外国人がいなくて、代打が手薄なところで柘植というのは常に考えています」