ガクガクの両足で投げ続けた。オリックス宮城大弥投手(20)が6回途中をブランドンのソロによる1失点で13勝目を挙げた。優勝争い最終盤、重圧かかるマウンドに「足が震えるの、やめてほしい。初めてです。毎イニング、毎打者、そう思ってました」と吐露した。

バクバクの心臓を緩和してくれたのは仲間だった。宮城は時折、センター後方に視線をやり、ひと呼吸つく。「ずっと18・44メートルの世界にいると、視野が狭くなるので」。どの球場でも、必ず確認するのはマウンドの感触だけでなく「ピンチでの目線の置き場所」。背番号13を女房役の伏見に見せ「目線の確保を。投手は、キャッチャーのミットばかりを見るポジションなので、気分転換を。後ろを見ると全体が見えて…」。遊撃を守る同学年の紅林と目線を合わせると「安心できるんです」。

ハキハキと宮城は言う。「みんな同じ18・44メートルが与えられている。どう使うか。先輩たちの投球を見て、勉強しています」。この日は緊張のあまり試合開始から3球連続ボール。二塁打と四球で2死一、二塁を招いた。無失点でしのぐと「怪しいな」と、2回以降はベンチ前でのキャッチボールを普段よりも急ピッチで行い、制球を修正。きっちり試合をつくり、西武戦は今季6戦全勝とした。

前回14日ロッテ戦は佐々木朗と投げ合い、5回を自己ワーストの8安打5失点でロッテにマジック点灯を許していた。本来の姿を取り戻した左腕に、中嶋監督も「最初はばらついていたけど、途中から非常に良い感じに戻った」と評価。これで貯金14で、2位ロッテとのゲーム差を1に広げた。残すは25日の敵地楽天戦のみ。25年ぶり優勝の行方を、先発予定のエース山本由伸に託した。悲願へ、突き進むだけだ。【真柴健】