花の98年組が集結する!DeNAが巨人を退団した石井琢朗3軍野手コーチ(51)、前ヤクルト投手コーチの斎藤隆氏(51)を1軍コーチとして招聘(しょうへい)することが2日、分かった。BCリーグ・神奈川の監督だった鈴木尚典氏(49)とともに、98年の日本一メンバーがコーチとして大集合。2年目を迎える三浦大輔監督(47)と古巣再興へ力を合わせ、来季の巻き返しを狙う。

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大輔、力を貸すぜ! 走攻守の3分野で、ハマのコーチ大補強が始まった。今季12球団最少の31盗塁に終わった機動力改善は、通算358盗塁の石井氏に託される。投手で入団しながら、野手に転向した2年目には盗塁王を獲得。38年ぶりの日本一に輝いた98年は、遊撃手でリードオフマンとして活躍した。3年連続を含む盗塁王4度の実績は、俊足の森ら若手の育成にうってつけ。広島のコーチ時代には丸、田中広が盗塁王に輝いた。三塁手、遊撃手でゴールデングラブ賞4度の名手だけに、守備面の指導でも期待される。

斎藤氏は横浜時代に先発、抑えをともに経験。98年はリーグ優勝を決めた10月8日阪神戦(甲子園)で先発し、チーム最多タイの13勝を挙げた。01年からはクローザーに転向。2年連続20セーブを挙げている。36歳だった06年に米大リーグに挑戦。マイナー契約からはい上がり、名門ドジャースで抑えを務めた。3年連続2桁セーブを挙げ、09年からはレッドソックス、ブレーブスなどで中継ぎとして活躍。13年に楽天で日本球界に復帰すると、球団初優勝を経験した。DeNAは今季、最終盤で抑えを固定できず、12球団で唯一のチーム防御率4点台に終わった。先発陣も規定投球回到達者はゼロ。投手陣の立て直しに適任といえる。

鈴木氏はマシンガン打線の中核として、98年は3番打者を務めた。広角打法の中距離打者で97年から2年連続で首位打者を獲得。6年連続で2桁本塁打をマークするなどパワーも兼ね備えた。チームには牧、佐野、宮崎ら打率3割、2桁本塁打という左右に同タイプが多い。「第2次マシンガン打線」へと磨き上げる役割が託される。

石井氏は広島、ヤクルト、巨人、斎藤氏は大リーグ、鈴木氏は独立リーグと、現役引退後に三人三様の経験を重ねてきた。巻き返しを期す来季。横浜一筋の三浦監督には、広い視点も大きな助けになりそうだ。

◆98年の横浜 就任1年目の権藤監督の下、38年ぶりのセ・リーグ制覇&日本一に輝いた。開幕3連勝の後、一時は5位に転落したが、6月20日に首位に再浮上。その後はオールスターを挟んで10連勝するなど首位を譲らず、2位中日に4ゲーム差をつけた。本塁打こそ多くないが圧倒的な集中打で試合を支配する「マシンガン打線」は、7月5日のヤクルト戦(熊本)では1イニング全員安打を記録。リーグ1位の打率2割7分7厘をマークした。投手陣は「大魔神」佐々木主浩を不動のクローザーに据え、野村、斎藤隆、三浦の3投手が2桁勝利。投打がガッチリとかみ合った優勝だった。日本シリーズでは西武を4勝2敗で下し、日本一となった。

◆石井琢朗(いしい・たくろう)1970年(昭45)8月25日、栃木県佐野市生まれ。足利工から88年ドラフト外で大洋(現DeNA)入団。91年秋に投手から野手転向。98年には横浜の38年ぶり日本一に貢献。09年から広島でプレー。12年に現役引退。最多安打2回、盗塁王4回。通算2432安打、102本塁打、670打点、打率2割8分2厘。引退後は13~17年広島、18、19年ヤクルトコーチ。20年から巨人コーチ。現役時は174センチ、78キロ。右投げ左打ち。

◆斎藤隆(さいとう・たかし)1970年(昭45)2月14日、仙台市生まれ。東北-東北福祉大を経て91年ドラフト1位で大洋(現DeNA)入団。96年に最多奪三振。06~08年ドジャース、09年レッドソックス、10年ブレーブス、11年ブルワーズ、12年ダイヤモンドバックス。13~15年は楽天でプレー。日米通算112勝96敗、防御率3・50。引退後は16年にパドレス編成業務、17~19年同アドバイザー。20年にヤクルト1軍コーチ。現役時は188センチ、90キロ。右投げ左打ち。

◆鈴木尚典(すずき・たかのり)1972年(昭47)4月10日、浜松市生まれ。横浜から90年ドラフト4位で大洋(現DeNA)入団。97、98年に2年連続で首位打者、ベストナイン。98年に西武を下した日本シリーズでMVP。通算146本塁打、700打点、打率3割3厘。引退後は09、10年に2軍コーチ。11年から球団職員などを務め、20年に独立リーグのBC・神奈川監督に就任。リーグで初めて参入初年度に優勝した。現役時は186センチ、88キロ。右投げ左打ち。

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