ノリさんがタカさんをチェックした? 新生立浪竜の秋季キャンプが4日、ナゴヤ球場でスタート。新任の中村紀洋1軍打撃コーチ(48)が、主砲候補生の2年目、石川昂弥内野手(20)に自らの極意を伝えた。

石川昂の打球は倉庫の屋根に「ガコンッ!」と音を立てて弾んだ。本拠地バンテリンドームと同規格のナゴヤ球場外野フェンス上に立てられた約30メートルの左翼ネットを軽々と越えた。「飛べば楽しいですね(笑い)。打った感覚は良かった。1日でこんな越えることはなかった」。この日の打撃練習では109スイング中、柵越えは30発を放った。そのうち、4発がネット越えの特大弾。キャンプ初日で得た好感触に、石川昂は目を丸くした。

「あの体はすごい。僕の2、3年目と比べたら全然違う。下半身からいい体です」と中村紀コーチも石川昂の肉体を絶賛。自身が近鉄時代の00年に初タイトルの本塁打、打点の2冠を取ったときに覚えた、腕主導の打法を早々と伝授した。「手を動かさないとボールは打てないというシンプルな考え。足を使うと手が出てこないというのは基本。あれだけの下半身を持っているから、必要以上に使ってしまう」(同コーチ)。通算404本塁打のアーチストも、石川昂の素質に触れて初日から指導に熱がこもった。

「今までやっていたことと真逆なんで、すごくビックリ。すごく新鮮な気持ちです」。石川昂は今年6月の2軍戦で死球を受け左尺骨骨折しリタイア。クローズドスタンスで死球を避ける技も伝授され、満腹のキャンプ初日に笑みがこぼれた。【伊東大介】