テル再生はお任せ! 阪神は16日、藤井康雄1・2軍巡回打撃コーチ(59)の就任を発表した。

背番号は「81」で、年俸1800万円。「4スタンス理論」に基づく指導で、ソフトバンク柳田らスラッガーの育成に尽力してきた。兵庫・西宮市内の球団事務所で入団会見を行い、佐藤輝明内野手(22)の飛躍後押しへ決意を語った。(金額は推定)

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プロ1年目の後半戦、もがき苦しんだ佐藤輝にとって救世主が現れた。就任会見に臨んだ藤井康コーチは、歯切れよく言った。

「柳田や大谷翔平クラスの飛距離を持っている。今年で言えば杉本と変わらない。それを年間通して出せるようにできたらいい。もともと結果を出している選手。能力はあるから、そこに戻してあげたい」

02年の現役引退後はオリックス、ソフトバンクのコーチとして吉田尚、T-岡田、柳田ら長距離砲の指導に当たった。バランスの中心が足裏のどこにあるかなどの観点から、体の使い方のタイプを4つに分類する「4スタンス理論」に基づき、アドバイスを送る。佐藤輝については「映像などを見ると柳田タイプ」とかつての教え子の名前を挙げた。

改善点については「その辺りはまたゆっくりと」とニヤリ。「何となくこうしたらいい、というのは思っている」とプランは胸の内にある。「柳田は1から10まで話をしなくても、ポイントが分かっていればいいという形。佐藤君もそんな感じなのかなと」。同タイプのスラッガーを育てたノウハウで才能開花を後押しする。

自身も現役通算282本塁打のスラッガー。満塁本塁打14本は歴代3位タイと勝負強かった。「そういう精神状態に持っていくためのものはある。それは選手に話したい」。満塁男の魂も注入する。

矢野監督は「今、情報も多いから、藤井さんはいろんなチームで指導されてきた方。こうなんだよっていう部分を提案してもらえる」と理詰めの指導に期待した。基本は2軍に籍を置きながら、沖縄・宜野座の1軍キャンプにも参加し、シーズン中も1軍で指導を行う見込み。24日まで行われる秋季練習でも指導を行う予定だ。未来の長距離砲の育成に、頼もしいコーチが加わった。【中野椋】

◆4スタンス理論 人にはそれぞれ骨格や運動のメカニズムがあり、それぞれに合った体の使い方がある、という理論。バランスの重心となる足裏のポイントによってA1、A2、B1、B2の4つに分類する。ゴルフスイング分析に用いられ話題になった。近年では20年ロッテの新人合同自主トレで、提唱者の広戸聡一氏の講義を受けた佐々木朗希が、エンゼルス大谷翔平、楽天田中将大と同じ「B2」に分類された。

◆藤井康雄(ふじい・やすお)1962年(昭37)7月7日生まれ、広島県出身。泉州高、プリンスホテルを経て86年ドラフト4位で阪急入団。オリックス時代の95年のリーグ優勝、96年の日本一も経験し、02年に現役引退。オリックス、ソフトバンクで打撃コーチを歴任し、スカウトも経験。20年からは中学生や関西創価高での指導も行っていた。通算1641試合出場。282本塁打、861打点、打率2割5分2厘。通算満塁本塁打14本は歴代3位。181センチ、81キロ。右投げ左打ち。

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