広島ドラフト6位末包昇大(すえかね・しょうた)外野手(25=大阪ガス)が、チーム「第1号」で開幕4番をアピールした。巨人とのオープン戦(沖縄セルラー那覇)に「4番一塁」で先発し、5回に戸田の内角球を捉え、左翼防球ネットに突き刺す特大の2ラン。メジャー入りを目指す鈴木誠が抜け、外野と4番の競争は激化する中、188センチ、110キロの即戦力スラッガーが存在感を強めている。

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大きな衝突音を残して右打席から飛び出た末包の打球は逆風を裂き、左翼防球ネットに突き刺さった。ダイヤモンドをゆっくりと1周。表情は変わらなかった。「無我夢中の状態で一生懸命にダイヤモンドを走ってました」。ベンチでナインと歓喜のグータッチを終え、息を吐いてようやく安堵(あんど)した。5回2死一塁。仕留めたのは巨人戸田の内角低めの直球。両腕をコンパクトにたたんでいた。「良い形でバットを出せたのできれいに真っすぐの打球が飛んでいった」。理想のスイングだった。

「きれいに真っすぐ」というところに末包の打撃エッセンスが詰まっている。尊敬する鈴木誠から助言をもらった際に気付きがあった。「レフト線に打ってもポールを巻くのではなくて、ポールから沿って右に曲がっていくような打球が(スタンドに)入れば、良い(バットの)出し方をしていることになると思いました」。先制&決勝2ランは左翼定位置よりポール寄りで、軌道はぶれないままフェンスを越えた。内からバットが出ている証拠の一打だった。佐々岡監督も「打撃コーチと一生懸命やっている。ああいう1発が彼の魅力」とうなずいた。

実戦は7試合連続で4番に座っている。昨季110試合で4番を務めた鈴木誠が不在で、チームは新主砲の台頭が望まれる。「まだまだオープン戦ですけど自分が求められているものがホームランや長打。それをチーム一発目で打てたのは良かった」。12球団の新人最速弾。25歳でプロ入りと遅咲きのスラッガーが、1年目からファンの期待を背負う存在になりそうな予感だ。【前山慎治】

◆末包昇大(すえかね・しょうた)1996年(平8)5月27日生まれ、香川県出身。高松商-東洋大-大阪ガスを経て21年ドラフト6位で広島入団。大阪ガス時代に前広島鈴木誠也を参考にして打撃が急成長。趣味はゴルフで、愛称「ジャンボ」はプロゴルファーのジャンボ尾崎から。ベストスコアは95で最長飛距離は350ヤード。契約金4000万円、年俸1000万円。背番号52。188センチ、110キロ。右投げ右打ち。(金額は推定)

▼ルーキー末包が先制2ラン。昨年はオープン戦で3人の新人が本塁打を記録し、佐藤輝(阪神)は3月5日のチーム初戦で1号を打ったが、広島の新人がチーム初戦に1発は15年2月21日野間以来になる。末包は「4番一塁」で先発。オープン戦で本塁打を放った新人4番は14年3月22、23日井上(ロッテ)以来となり、チーム初戦で新人4番の1発は、06年2月25日松田(ソフトバンク)以来、16年ぶり。14年井上は公式戦の開幕で4番を務めたが、末包はどうなるか。